『虎に翼』直明役・三山凌輝から湧き出る「昭和の男」感…初登場シーンは「全力で受けの芝居を」
寅子(伊藤沙莉)が家庭裁判所の設立に向けて奮闘する姿が描かれた、今週放送の連続テレビ小説『虎に翼』(NHK総合ほか)第11週「女子と小人は養い難し?」。本日6月14日放送回では、寅子の弟で「東京少年少女保護連盟」のメンバーとして活躍する直明(三山凌輝)の訴えが、少年審判所の壇(ドンペイ)と家事審判所の浦野(野添義弘)の心を動かした。
第9週で終戦後、直明が就学先の岡山から帰ってくるエピソードより出演している三山凌輝に、役作りについて訊いた。
■ 「あの感動は忘れない」初日のシーン初登場時(第41回)から作品の世界観になじんで、「昭和の好青年」に見事にハマっている三山は、「直明役に入る前から、僕自身けっこう周りから『昭和っぽい』って言われることが多かったんです。だから、意外と『虎に翼』のテイストには合ってるのかな、ありがたいなと思いました」と振りかえる。
どのように役作りしたのかと訊くと、「所作の先生の指導のもと、なるべくゆっくり目にしゃべったり、無駄な動作を抑えて『今っぽさ』を削っていくことを意識しています。衣装を着ることによって意識が変わりますし、猪爪家の家族を演じるみなさんに助けていただいた部分が大きいです」と語った。
第41回で直明が岡山から帰ってきた「初登場シーン」が、三山のクランクインだったという。猪爪家の家族、寅子、直言(岡部たかし)、はる(石田ゆり子)、花江(森田望智)らとの共演はどうだったのだろうか。
三山は「初日は本当に緊張していました。僕以外のみなさんは第1回からずっと『猪爪家』の家族として演じられていて、自分がいきなりそのなかに飛び込むというのは、すごいプレッシャーで。だから、ここはもうスーパー俳優さんたちにお任せしようと思って。僕はただその場にいて、『久々に帰ってきた』という自分なりの直明を演じることに集中して、全力で『受け』の芝居をしようと思いました」とコメント。
さらに、「直明が久々に家族の元に帰ってきたことで、まぎれもない喜びだったり、家族の『分かち合い』みたいなものが空気感として出ていたのかなと思います。そういういろいろなものが『がっちゃんこ』して、違和感のない『昭和の男』感が出たのではないかと。だって、みなさん『初めまして』の僕に抱きついて泣いてくれるんですよ。すごいな、と思って。あの感動はいまだに忘れないです」と、猪爪家の面々の演技へのリスペクトを語った。
カメラが回っていない間、共演者たちとのコミュニケーションについてはどうなのだろうか。三山は「ずっと『猪爪家』という感じがしますね。本当にみなさんやさしいですし、石田さんは『お母さん』という感じですし、伊藤さんは『お姉ちゃん』という感じ。それぞれが自然とそういうポジションにいてくださるので、僕は現場でのびのびといさせていただいているというか。撮影以外の時間も、とても仲良くさせていただいています」と語った。
次週、「家に女房なきは火のない炉のごとし?」以降も引き続き、助け合い、分かち合いながら生きていく「猪爪家」と、直明の成長物語が描かれていく。
取材・文/佐野華英
(Lmaga.jp)