「性を美しく描く」京都で8年ぶりの春画展、前回は8万人来場の大反響

人間の性愛を描いた春画の展覧会『美しい春画-北斎・歌麿、交歓の競艶-』が、9月7日から「細見美術館」(京都市左京区)でスタートした。世界的な人気を誇る浮世絵師・葛飾北斎や喜多川歌麿の日本初公開となる傑作など、貴重な約70点を鑑賞できる。

江戸期に流行した春画は、時にユーモアを交えながら性風俗が描かれ、「笑い絵」とも呼ばれた浮世絵の一種。明治期以降はタブーとされたが、海外ではその華麗な芸術性が高評価され、8年前に同美術館で関西初の大規模な「春画展」が開催された際には、約8万人が訪れるほど反響が大きかったという。

今回の展示では「美しさ」に焦点をあて、1点ものの「肉筆春画」を中心に紹介。なかでも、北斎の幻の作品といわれる『肉筆浪千鳥』は、1976年のパリでの展示以来、長らく公開されなかった注目作だ。着物の柄や男女の肌が良質な絵具を用いて繊細に描かれ、版画とはひと味違う鮮やかな色合いが見どころのひとつ。

そんな名画を堪能すべく第3展示室には北斎作品のみが並び、手描きの『肉筆~』に加え、版画『富久寿楚宇』、輪郭線のみ版で摺り、筆で彩色した『浪千鳥」といった3タイプ(各12図)の春画が勢ぞろい。同展監修の樋口一貴氏が「この36枚を一度に鑑賞できるのは空前絶後、ぜひ見くらべてほしい」というほど貴重な展示空間が広がる。

さらに、美人画の巨匠・喜多川歌麿の大作も日本初公開。若い恋人たちが夏の夜に戯れる様子を描いた横幅1m超えの『夏夜のたのしみ』、階段の途中で交接する男女と階下の女を描いた『階下の秘戯』は、「秘かに愉しむ春画」のイメージを覆す掛軸仕様。樋口氏は「床(とこ)にかけて複数の目で見る掛軸だけに、どんな環境で見られたのか、また他の歌麿作品との関連など想像力がかき立てられる」と鑑賞の楽しさを語った。

ほかにも、濃厚な描写が特徴的で火伏せのお守として人気を博した上方春画を代表する月岡雪鼎の作品、絵巻の全12場面で見合い・婚礼・出産など若夫婦の優美な歳時記を描いた勝川春章の作品など、名絵師らによる男女の色香が漂う名作が続々。いずれも「美しい人間を描いた動き・ポーズ」や「当時の封建社会下で描かれた男女平等に性を愉しむ姿」が魅力という。

遊び心あふれるグッズも販売され、クッキーを割って一風変わったおみくじを楽しむ「春画みくじクッキー」(1296円)、見えない部分が気になる「アクリルキーホルダー」(770円)など、個性的な商品がスタンバイ。

同展への18歳未満の入場は禁止。開催期間は11月24日まで、前期(~10月14日)・後期(10月16日~)で一部の作品を入れ替え予定。料金は2200円。

取材・文・写真/塩屋薫

(Lmaga.jp)

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