『おむすび』チーフ演出、結の恋の相手・翔也と、演じる佐野勇斗の魅力を語る「存在自体がピッチャー」
今週は連続テレビ小説『おむすび』(NHK総合ほか)の第7週「おむすび、恋をする」が放送中。結(橋本環奈)と翔也(佐野勇斗)は結局交際には至らず、結はメル友として、野球に打ち込む翔也を応援する。月日は流れ、結たちは高校3年生。翔也は最後の夏も甲子園出場ならず、卒業後は監督の紹介で大阪の社会人野球チームに入ることになった。
本日放送の第34回で、翔也の野球少年からメジャーリーガーに至るまでのビジョンを書いた「サクセスロードマップ」の順番通りにいかなったことについて、落ち込んでいないかと気遣う結に対し、翔也がこう言う。
「んなもん書き換えればいいべ! 人生は思い通りにいかねえ。1回や2回、いや何度だって失敗する。でも気にすることねえ。最終的に夢に辿り着けばそれでいいべ」。
どんな人にも勇気をくれそうな、愚直ながら力強いを翔也のこの言葉を撮るには、どんな思いがあったのか。本作のチーフ演出・野田雄介さんがインタビューに応じ、今週の見どころを語った。
■ 「翔也の言葉をどうやって届かせるか」意識して撮影
野田さんは、「僕もその台詞が大好きで、脚本家の根本ノンジさんが書いてくださった第一稿を読んで、真っ先にその思いを伝えました」と語り、こう続ける。
「翔也は夢や目標に向かって脇目も振らずにコツコツと進んでいく青年で、こういう言い方が正しいかわかりませんが、ある意味『昭和的』なキャラクターです。今の時代、ああいうふうにまっすぐにポジティブな思いを言える人って少ないし、憧れでもあると思うんですね。第34回の船着場でのシーンは、翔也の言葉をどうやって届かせるか、いかにして結と、そして視聴者の皆さんに響かせることができるかということを意識して撮りました」。
■ 現代社会の中でたくましく生きていく昭和的ヒーロー
四ツ木翔也という人物造形については、「過去の震災や家族の問題と対峙して『今を思いっきり楽しむ』という境地に至った結に、翔也というちょっと『前時代的』なキャラクターをぶつけることで、お互いの良さをもらって、お互いを補い合ってくれればいいな、という思いで生まれたキャラクターです。そういう2人が、挫折を乗り越えながら物語を大きく動かしていきます」とコメント。
また「翔也は一見、昭和的ヒーローのようなキャラクターですが、現実問題として誰もが大谷翔平さんのように成功するとは限らない。『現代社会の中でたくましく生きていくには、いかにあるべきか』を体現した、稀有なキャラクターです」と語った。
■ 栃木弁を見事にマスターし、翔也を表現した佐野勇斗
また、翔也を演じる佐野勇斗について野田さんは、「物語の現在の舞台である2006(平成18)年というと、WBCの第1回がおこなわれ、侍JAPANが世界を席巻した年。日本中で野球熱がグッと高まったタイミングです。そこから、現在大谷翔平選手がメジャーリーグで見せている快進撃という夢にもつながっていった。翔也という人物には、そんな大きな思いを背負ってもらっています」とコメント。
そして「翔也の愚直さ、まっすぐさを、佐野さんがとても素直に演じてくださいました。翔也というキャラクターの大事な要素が『栃木ことば』なのですが、佐野さんはきっちりとマスターしてくれて、見事に四ツ木翔也という人物を表現してくれています」と絶賛した。
四ツ木翔也は『おむすび』というチームの中ではどんなポジションなのか。野田さんは「やっぱりピッチャーですね」と語る野田さん。翔也からの「火の玉ストレート」を受け取った「キャッチャー」・結が、明日放送の第35回では将来に向けてある決断をする。
取材・文/佐野華英
(Lmaga.jp)