1着数十万も…子ども服のミキハウス「高級ライン」が好調、開発者が込める想い
少子化が進むなか、高級子供服に需要があるようだ。ベビー・子ども服ブランド「ミキハウス」(本社:大阪府八尾市)では、2022年から高級ライン「ミキハウス ゴールドレーベル」(以下ゴールドレーベル)をスタート。翌年2023年には3億の売上げを記録し好調だという。
「ゴールドレーベル」では、カシミヤやシルク、ホワイトグースダウン、幻のコットンとも呼ばれる海島綿など稀少性の高い素材が使用され、カシミヤダッフルコート41万8000円、シルクサテンパジャマ16万5000円、ベビーカシミヤのブランケットが33万円・・・といった高価格で販売されている。
汚すことは日常茶飯事、サイズアウトも当たり前の子ども服に、なぜそこまで高価なものを? ニーズはどこからくるのか? 企画本部役員の河原さんに訊いた。
■ 「一番良いものを着せたい」に応えたい──なぜ『ゴールドレーベル』を立ち上げられたのでしょうか?
以前、海島綿を使った短肌着(Tシャツ丈の肌着/4000円)やコンビ肌着(股下がスナップボタンで固定できる膝丈の肌着/6000円)を販売し、予想以上に好評だったことから、より品質重視で商品を開発するようになりました。
ゴールドレーベルとしては、「自分の子どもに一番良いものを着せたい」という親御さんの気持ちに応えるとともに、国産にこだわり、日本の良いものを世界に送り出していくということを大切にしています。
──そんなゴールドレーベルの反響はいかがでしょうか?
ゴールドレーベルではとくに、お子さまの成長に伴うリピーターの方や、「1人目の時に使って良かったから」と、第2子で再び買いに来られるお客さまが増えています。
アウターはもちろん、外から見えない「肌着」のリピートは嬉しいですね。品質に対して信頼していただいている思いの表れかなと思います。
──私も子育てをしているのですが、肌着はなかなか酷使されます・・・。
ゴールドレーベルに限らないのですが、弊社は耐久性に自信があるので肌着でもお下がりができるんです。そのため「下の子に取っておく」「近所の子にあげる」さらには「孫まで置取っておく」といった話もよくお聞きしますね。
──お下がりができるのは嬉しいですね。
我々も良いものを長く使って頂きたいという想いを込めて作っておりますので、使い捨てではなく大切に使っていただけたらと思っています。
高級ラインでもご支持いただけているのは、素材や技術を突き詰めて、お子さまの安心・安全を追求したベビー・子ども服を作っているところがあまり他にないことも一因だと思います。素材、技術にこだわれば必然的に値段も上がってしまいますが、そういったブランドとしてお祝いギフトにも必要とされていますね。
■ 国内外での反響の違いは?──「ミキハウス」は2023年に海外の店舗数が国内の数を追い抜いたそうですが、高級ラインも海外の方が売れているのでしょうか?
少子化にともない国内店舗は減少していますが、その分、国内外でお客さまと出合う機会を増やすことにも注力しています。「ゴールドレーベル」に限らず、弊社の商品全てにおいて、とくに国籍の差は感じられないですね。実際に触れて気に入られた方がご購入くださっています。
ちなみに、ミキハウス全体の売上のうち、日本国内が4割、海外が6割となっており、世界中から大変好評をいただいております。
──大人用のセーターやTシャツもあり、子どもだけではないのが意外でした。
弊社は元来、ペアコーデにもこだわりがあります。ベビーカシミヤを用いたセーターについては、原料が非常に良いので、親御さんにも一緒のものをまとってもらい実感してもらいたいという思いから商品化しました。大人ならサイズアウトしないので、長くお使いいただけますし、思い出と一緒に過ごして頂けたら嬉しいです。
──ゴールドレーベルを振りかえってみて思われることはありますか?
実際に作ってみて、お客さまから教えていただくことは多いです。全力で良いものを作ったら想像以上の反響やお褒めの言葉をいただくこともありますし、逆にもっと僕らが成長しなければならないことをアドバイスいただけたりもするので、やって良かったと思いますね。
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一見価格だけを見れば、なかなか手を出すのが難しいように思われるが、子どもに良いものを着せたいと願う親のニーズに確実に応え、また、そのリピーターの存在からは、実際に使用した購入者のハートをがっちりと掴んでいることが伺える。国境を超えた子を思う親の気持ちから「ゴールドレーベル」は生まれたと言っても過言ではないだろう。
取材・文/緑川翠
(Lmaga.jp)