美人画の第一人者・上村松園の回顧展、大阪初開催で100点以上 「理想の女性像」に迫る
美人画の第一人者として知られる画家・上村松園の回顧展『生誕150年記念 上村松園』が、「大阪中之島美術館」(大阪市北区)で開催中。大阪の美術館では初開催となり、松園の画業を辿る珠玉の100点以上が集結する。
京都で生まれ、伝統を学びながら独自の人物表現で「理想の女性像」を追い求めた上村松園(1875-1949)。女性の凜とした強さや愛らしさ、気品あふれる作品を生み出し、女性で初めて文化勲章を受章するなど、日本における女性芸術家のパイオニアとして位置づけられる。
大阪のみで開催される同展では、年代順ではなく「人生」「季節」「古典」「暮らし」という4つの「視点」ごとに、松園の60年におよぶ作品群を紹介。重要文化財『母子』『序の舞』などの代表作をはじめ、完成作に関連する下絵や素描も展示され、表現豊かな女性美の魅力に迫る。
第1章「人生」では、母子や姉妹の家族愛、明治期の婚礼風俗などを通して、女性の一生が描かれ、その生き方に着目。当時は子供を生むと眉を剃る風習があり、その象徴『青眉』など松園の母への追慕が感じられる作品も。第2章の風情ある「四季」に息づく女性像は生涯にわたるテーマ。構図の工夫が目を引き、『待月』は敢えて曲線美が強調された後ろ姿で、空を見上げるより誰かを待っているような想像がふくらむ名作だ。
伝統芸能や古典文学を画題にした第3章では、『清少納言』『よし野大夫図』といった艶やかな歴史画を展示。円山応挙の唐美人を手本に、中国の女性像にも取り組み『楊貴妃』は白く滑らかな肌で絶世の美女が表現された大正期の代表作。最後の4章では、日常のひとこまが描かれた作品が並び、昭和初期の失われゆく風習への懐かしみが込められているという。『新蛍』での驚き、『舞支度』での緊張など、女性らの細やかな表情に注目したい。
同美術館では2023年に、島成園など大阪の女性画家を特集した展覧会を開催。学芸員の小川知子さんは「全国の女性が憧れた松園の大きな節目に、きちんと業績や意義を紹介したかった」といい、「当時は美術界の9割が男性で、彼女の作品は官能性が少ないと批判されたこともありましたが、努力を続けて自分を貫いた。その強さは現代の女性にも支持されていくのでは」と魅力を語った。
グッズ売場には、作品に描かれた着物や髪飾りをモチーフにした和小物など、日常生活で楽しめるものも。京都の老舗和菓子店「鼓月」とコラボした特別パッケージ「プレミアム千寿せんべい」(1242円)も販売される。
開催は6月1日まで。前期(~5月11日)・後期(5月13日~)など、各作品の展示期間が異なるため、詳細は公式サイト内「作品リスト」で確認を。時間は10時~17時(入館は閉館30分前まで)。料金は一般1800円ほか。
取材・文・写真/塩屋薫
(Lmaga.jp)
