球児初登板1回0封「そこそこできた」

 「オープン戦、カブス4-3ジャイアンツ」(24日、アリゾナ州メサ)

 カブスの藤川球児投手(32)はジャイアンツ戦でオープン戦初登板し、5番手で1回を1安打無失点、2三振に抑えた。

 瞬殺。追い込んでから間髪入れず、敵の息の根を止めた。打者4人にわずか10球。オープン戦初登板で2つの空振り三振を奪い、ゼロに抑えた。「寒かったですけど、そこそこできたかな」。藤川の言葉が謙そんに聞こえるほど、その投球術は冴(さ)えていた。

 試合前に登板イニングを知らされない、本番さながらの緊張感。出番は1点リードの七回だ。最初の2人はメジャー経験者。先頭打者を右飛に打ち取った後、伝家の宝刀を抜いた。

 ベテラン捕手のキロスをカウント1‐1からこの日最速となる148キロの高め直球で空振りを奪い、ワンバウンドになる133キロのフォークで仕留めた。

 「振らないかなと思って投げたら振ってきた。その前の真っ直ぐが速く感じたんだと思う」

 2死からは高めのツーシームを左前へ落とされたが、習得中の新球を試すゆとりもあった。最後は逆にフォークで追い込み、直球で空振り三振。「タイミングの勝負。バッターのレベルが上がるとパチンと対応されることもあるでしょう」。巧みな投球術で格の違いを見せつけた。

 ネット裏でうなったのは、03年首位打者で現在はドジャースのスカウトを務めるミューラー氏だ。「直球が良かった。フォーク、カットボールの動きも良かった。いい投球だった」と絶賛した。

 7784人が入った“ホーム開幕戦”。マウンドに立った藤川に歓声はなかった。ルーキーの洗礼。始まりはここから。その右腕でファンの心をつかんでみせる。

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