阪神時代のタテジマのズボンを履いて臨んだ２月２８日のドジャース入団テスト。合格者の中に、元阪神で昨オフに楽天を退団した下柳剛投手（４４）の名前はなかった。

　オープン参加。約２５０人もの野球好きがアリゾナ州グレンデールの球団施設に集まった。１次選考のブルペン投球の前には、ド軍特別顧問のラソーダ氏から激励を受けた下柳。約４０人から４分の１に絞られた２次選考は試合形式で打者２人に対し、四球と空振り三振。わずか１０球で終了し「もうちょい投げたかった」と自慢の投球術を披露できず、悔しさをにじませた。

　この日に合わせ、年明けから渡米３日前まで奄美大島で自主トレを行った。合格者が野手１人の結果に「何とも言いようがない。特別な感情はない」と淡々。今後については「時間がたっぷりあるんでじっくり考える」と明言を避けた。

　飛行機嫌いの男が異国での受験を決意した。時差ボケに「眠い」を連発しながらも選考中は終始笑顔。１次選考の結果を待つ間は「ドキドキするわぁ」と話し、技量不足の捕手に「矢野がどんだけ投げやすいかがよく分かった」と言って笑わせた。その表情はまさに野球小僧だった。