球児が快挙!メジャー初登板初セーブ
「パイレーツ1-3カブス」(1日、ピッツバーグ)
阪神からカブスに移籍した藤川球児投手(32)が1日(日本時間2日)、パイレーツ戦でメジャー初登板し、初セーブを挙げた。3‐1の九回、守護神の不調で2死一、二塁の場面で“緊急登板”。打者を中飛に打ち取った。メジャー初登板初セーブは日本人選手初の快挙だ。
平凡な打球が上がった瞬間、マウンド上でド派手なガッツポーズを決めた。追い求めてきた夢の舞台。一発を浴びればサヨナラ負けの場面で、藤川が魅せた。メジャー初登板で初セーブは日本人選手初で、球団では10年ぶり。「うれしいですけどね。ゲームを終わらせたことにほっとしてます」。32歳のルーキーが控えめに喜んだ。
抑えにつなぐセットアッパーとして迎えた開幕戦。八回裏の出番に備えて肩をつくった。しかし、味方先発が続投。約40球を投げた後、待機を命じられた。
しかしそこから事態は急変。3点リードの九回に抑えのマーモルが大崩れした。適時打を浴び、さらに四球で1死一、二塁となったところで、首脳陣は中継ぎ左腕を投入。2死一、二塁から勝利のバトンは藤川に託された。
期せずして巡ってきたセーブ機会。「さあ行くぞ!というより、ポンと出された感じ」。迎えた打者は昨季21本塁打のベテラン、マーチン。しかし藤川は冷静だった。捕手のサインにうなずき、初球は142キロのカットボールを低めに決めてストライク。2球目は内寄りに143キロツーシームを投げ、中飛に仕留めた。
「日本で投げてなかった2球。それだけ違う野球をするということですね」。首を振って宝刀のフォークを投げることもできたが、オープン戦で磨いてきた新球で勝負できたのは進化の証しだ。
試合後のロッカー。うれしいことが2つあった。携帯電話に故郷の父からお祝いメッセージが届いていた。「実家のお父さんが喜んでました」。そして同僚の配慮でウイニングボールもゲットした。「日本のは1球もないんですけど、こっちは特別です、僕の中では」
試合前には雪で全体練習が中止となった波乱の一日。2013年4月1日。藤川にとって生涯忘れることのない日となった。