イチ1号「野手は取らないで、と」
「インディアンス1‐14ヤンキース」(9日、クリーブランド)
ヤンキース・イチローの今季第1号は強烈なライナーだった。三回2死での第2打席、1ストライクからの内角150キロを気持ちよく振り抜く。打球は勢いを落とさないまま、あっという間に右翼の味方ブルペンに飛び込んだ。
二回無死一塁での1打席目は、初球に手を出して一ゴロ併殺打だった。スイングの切れ、タイミングは十分でも打球は野手の正面を突く。それでもイチローは、次打席でも早いカウントで仕掛けた。迷いのなさが、打球の強さに表れていた。
イチローは「とりあえず越えてくれと思っただけ」と今季最初の一発を振り返る。「けっこう(打球が)低かった。だからもう、ホームランというより野手は捕らないで、と思った」と楽しそうに話した。
積極的な打席でのアプローチについては、ニヤリと笑っただけで核心には触れないままだった。しかし先発を外れた6日のタイガース戦後に「結果を出さないとこのチームでは使ってもらえない」と語った翌日から3試合連続安打。打撃の調子を確実に上げ、チームの3連勝に貢献した。