イチロー劇弾「めっさ気持ちいい」

 「ヤンキース4‐3レンジャーズ」(25日、ニューヨーク)

 ヤンキースのイチロー外野手(39)は25日(日本時間26日)、同点の九回裏2死から右中間席へ4号ソロ、移籍後初となるサヨナラ弾でチームに劇的勝利をもたらした。初回の打席では昨年7月14日以来の対決となったダルビッシュ有投手(26)から左前打を放ち、5戦連続安打とした。ダルビッシュはメジャー自己最多の3被弾で6回途中3失点、ヤ軍の先発黒田博樹投手(38)は7回途中3失点(2自責)でともに勝敗はつかなかった。

 もみくちゃにされた。本塁で待つ仲間たちに体中を叩かれた。昨年7月の移籍から152試合目、初めて経験するピンストライプの勝利の儀式。「めっさ気持ちいいです」。黒田とダルビッシュの『日本人先発対決』として注目された一戦。最後に主役の座をかっさらったのはイチローだった。

 同点の九回、1死一塁。初球、見送ったストライクで一走が二盗に失敗し、158キロ速球をファウルにして追い込まれた。不穏な空気が漂う中、3球目、外へ逃げるツーシームにバットを止めた。「当てられる可能性はあるけど、あそこで手を出したところで、ってことだよね。本能的に見逃した」。打ってもヒットにはならない。日米通算3951安打を積み上げた打者のきゅう覚だった。

 そして、4球目、内角156キロツーシームにバット一閃(いっせん)。その瞬間、相手投手がマウンド上でしゃがみ込んだほどのインパクト。「行ったと思ったね」。打った本人も手ごたえ十分の一撃だったが、試合後は意外な本音を明かした。

 「『もらった!』なんて(気持ちは)ないよ。ないないない。目をつぶって打ってはないけど、そういう感じに近い。もう思い切り、来た球をガーンっていう全然深みのない打席。ただ来た球を振ったら行った」

 ただし、“兆候”はあった。試合前の早出練習。39スイングのうち6連発と4連発を含む20本を外野席に叩き込んだ。イチローは「ケビン(・ロング)の球を打つとあの角度に上がる」と打撃投手を務めたコーチを立てたが、柵越え率・513は安定感の証し。「もちろん、いろいろ確認してますよ」。バットを構えた時に意識している背中は大切なチェック項目の一つだ。

 サヨナラのホームを踏む直前。ハイタッチを求めてきたカノを見て本塁打取り消しを心配したという。どんな時も冷静さを失わないイチローは笑って言った。「あの1本でワールドシリーズに行けるとなったときはわかんないですよ。想像しかないですけど」。ワールドチャンピオンは悲願。我を忘れるような1本を打つためにイチローはニューヨークへやって来た。

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