松井氏感動の引退式「泣きそうでした」
巨人、ヤンキースなどでプレーし、昨年12月末に現役引退を表明した松井秀喜氏(39)が28日(日本時間29日)、メジャー1年目の03年から7年間プレーしたヤ軍と1日限定のマイナー契約を結び、ヤンキースタジアムで引退式を行った。その後、行われたレイズ戦に6番・右翼で出場したイチロー外野手(39)は4打数4安打1打点。日米通算4000安打に、あと16本とした。
古巣ファンの大歓声が心に染みた。ヤ軍の粋な計らいで実現した1日限りの現役復帰。憧れ続けたチームの一員として現役最後の日を迎えた松井氏が声を詰まらせた。
「球場に入った時から泣きそうでした。うーん、ちょっと言葉にならないぐらいの感動、うーん、改めて幸せな野球人生だったと思います」
同氏の両親と兄も出席した引退式典は、試合開始30分前、本塁付近で行われた。スーツ姿の主役がゴルフカートに乗って登場すると、スタンドのファンは総立ち。見る者の気持ちを代弁するかのように雨が降り始めた。
くしくもこの日から戦列復帰したジーターは、同氏がMVPを獲得した09年ワールドシリーズ仕様のユニホームを収めた額縁をプレゼント。また、試合前のベンチでイチローと再会の握手を交わした同氏は「きょうはチームメートですね」と言って笑わせた。
始球式ではヤ軍の帽子をかぶり、ピンストライプの「55」を羽織ってマウンドに上がった。地面すれすれでミットに収まった投球に「思ったより距離が長かった。でも届いてよかった」と安どの表情を浮かべた。
ヤ軍の主力選手として過ごした7年間を「本当に幸せな日々でした」と振り返った。「最後にもう一度、憧れのユニホームを着て、ヤンキースタジアムのグラウンドに立てたことは本当にうれしい。生涯忘れられない日になると思います」と感慨に浸った。
先着1万8000人には同氏の首振り人形が配布された「マツイ・デー」。本拠地は約2カ月ぶりにチケットが完売した。その勇姿を永遠に忘れない‐。日米両国のファンに愛された松井氏。その人気の高さがあらためて証明された。