Aロッド「悪夢」211試合出場停止
「ホワイトソックス8-1ヤンキース」(5日、シカゴ)
米大リーグ機構は5日(日本時間6日)、薬物規定違反により、647本塁打の現役最多記録を持つヤンキースのアレックス・ロドリゲス内野手(38)ら13選手に出場停止処分を科した。出場停止期間が今季残り試合と来季全試合の計211試合となったロドリゲスは、異議申し立ての手続きを取り、この日のホワイトソックス戦に強行出場。くしくも処分が発表された日が今季初出場となった。1月の左股関節手術からの復帰戦で今季初安打となる左前打を二回の第1打席で放った。他の12選手は50試合の停止処分を受け入れた。
無数のシャッター音が響き渡った。15台のテレビカメラが一斉にレンズを向けた。日、米、スペイン語圏の報道陣約150人が待ち構えた会見場に、“戦闘服”で身を固めたロドリゲスがさっそうと現れた。
背番号13を背負った男は左股関節のリハビリと禁止薬物使用疑惑の日々を振り返り、「悪夢。人生最悪の時だった」と表現。復帰戦を前に感極まった表情を何度もつくり「もう一度このユニホームを着て野球ができることに興奮するとともに恐縮している」と話した。
機構が下した裁定には「がっかりしている」とし、禁止薬物の使用を否定したか?の問いには「話し合いをもつのはこれから」と多くを語らず。選手が異議申し立てをした場合、最終決定まで出場可能となるが、異議の理由は「自分を守れるのは自分だけ。だれも守ってくれない」と説明した。
この日は試合開始5時間以上も前からテレビ局が球場の様子を生中継。宿舎前にもカメラが張り付き、チームバスとは別の車で球場へ向かうロドリゲスを捉えた。試合前のヤ軍クラブハウスは報道陣でごった返した。
人気球団の主砲。史上最大の10年2億7500万ドル(約275億円)の契約。さらに09年にテレビで過去の禁止薬物使用を告白した際には04年以降はやってないと断言するなど、注目度を高める要素は数え切れない。
敵地で迎えた今季初の公式戦は「4番・三塁」で出場し、第1打席で安打を放った。選手紹介、打席、守備機会と、ことあるごとにブーイングを浴び、観客席には「いんちき野郎」などの辛らつな言葉も踊った。メジャー史に残る大スキャンダル。“Aロッド狂騒曲”はまだまだ続く。