イチローついに日米4千本安打の金字塔

 「ヤンキース4-2ブルージェイズ」(21日、ニューヨーク)

 ヤンキースのイチロー外野手(39)が21日(日本時間22日朝)、日米通算4000安打を達成した。ニューヨークで行われたブルージェイズ戦に「2番・右翼」で出場し、一回に左前打を放った。試合後には「半泣きになりました」と振り返った。09年には張本勲のプロ野球最多安打記録3085本を日米通算で更新。メジャー13年で2722安打を重ねた。

 地元ファンのスタンディングオベーションに胸を熱くし、仲間たちの粋な演出に感極まった。イチローコールの大合唱が響き渡った初回の打席。ナックルボーラー、ディッキーの魔球を左前へ運んだ。

 新たに打ち立てた金字塔。歓声と拍手がフィールドに渦巻くなか、ベンチから仲間たちが一塁へ歩み寄り、イチローを祝福した。

 「僕のためにゲームを止めて、僕だけのために時間をつくってくれるという行為はとても想像できるわけがない。ただただ感激しました」

 驚きが喜びに変わり、最後は感無量に。「半泣きになりました」。球場全体を見渡しながら深々と頭を下げた。

 92年7月12日に放ったプロ初安打から2981試合目で到達した大記録。1万2128打数4000安打。イチローが胸を張ったのは失敗した数の方だ。

 「8000回以上は悔しい思いをしてきた。それと常に自分なりに向き合ってきた事実。誇れるとしたらそこ」

 チームが勝って自身が無安打に終わった日。取材現場の空気は一段と張りつめる。勝利を語る口調がどこか沈んでいることがある。ロッカーの椅子に座ってじっと考え込む。絶対に逃げない。絶対に目をそむけない。原因を探る。強い精神力なしにはできないことだ。

 「おじいちゃん!」

 同僚のカノは親しみを込めて野手最年長のイチローをそう呼ぶ。10月で40歳。成績が芳しくなくなると、周囲は「衰え」という言葉で片づけようとする。

 フィールド上での動きはしなやかで、軽やかだ。「当時と比べると肩の強さは今の方が上。走るスピードは分からないけどホームから一塁までは変わってるとは思えない」。プロ入り直後は9%だった体脂肪率は現在、6・5%まで減少。試合前と試合後のストレッチ、自宅と球場にある初動負荷理論に基づくマシンを使ったトレーニングは日課だ。地道な積み重ねがけがをしない肉体をつくり上げた。

 「セオリーは破ってナンボ」と話したことがある。固定観念の打破。不惑を迎えてもイチローは走、攻、守を兼ね備えた選手であり続ける。

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