新ポスティングシステムは白紙に
米大リーグ機構のマンフレッド最高執行責任者(COO)は14日、日米間で合意に達していたポスティングシステム(入札制度)の新制度を取り下げ、修正案を提出することを発表した。修正案の作成に数週間を想定しており、入札制度でのメジャー挑戦が注目される楽天の田中将大投手の動向に影響を及ぼしそうだ。
選手会が新制度案を承認し、道が開けたかと思われた直後の“白紙”通達。日本野球機構(NPB)の井原敦事務局長は「状況変化の詳細について情報を収集している」と対応に追われた。
事態は深刻だ。米国メディアの報道では、ポスティングシステムをめぐって現地で開催中のオーナー会議が紛糾。同システムの利用に積極的な金満球団と、スモール球団で激しい議論が繰り広げられたという。
MLBでは年俸総額が一定額を超えた球団に対し、課徴金を課す制度があるが、パイレーツがポスティングシステムの落札金を課徴金の対象にすべきだと主張。ヤンキースと意見が対立した。
井原事務局長は「米国側の変化は10月末か11月入ったあたりからあったのではないか」と話した。田中の報道が11月初旬から過熱。獲得費用は1億ドル(100億)超とも報じられた。独占交渉権の高騰で入札の参加が厳しいスモール球団を中心に、意見がばらつき始めたとみられる。
もともと、破棄された新制度案は日米間で合意に達し、日本シリーズ後の5日に発表予定だった。だが、選手会が異議を唱え、締結がストップ。14日、選手会はようやく承認したが、すでに手遅れの状態となっていた。
新制度は、合意するまで約1カ月半も要した。単純に考えれば“白紙”となった現状から再び合意するのは12月下旬。だが、米国にはクリスマス休暇などもある事情から、“越年”の可能性が高い。
時期が遅れるほど、入札金が下がり、楽天や田中にとっては不利となる。井原事務局長は「(日米間で)ポスティング制度は続けましょう、という大きな方向性はある」と話したが、極めて厳しい状況となってきた。