黒田、米70勝!意表突く“エサまき”
「ヤンキース7-4レッドソックス」(12日、ニューヨーク)
ヤンキースの黒田博樹投手(39)はニューヨークでのレッドソックス戦に先発登板し、6回1/3を6安打4失点で今季2勝目(1敗)、メジャー通算70勝目を挙げた。イチローは九回に右翼に入った。
潔かった。初回1死。2番ノバに対しカウント0‐2から黒田がこの日初めて投じたスプリットを中前へ運ばれた。理想の軌道を描かなかった決め球。「追い込んでから打たれたんで投げることをためらった」。あっさりと宝刀を捨てた。
スプリットの配分を減らす一方で実は秘策を用意していた。2点リードの二回に同点2ランを被弾。直後にカーブを多投した。昨季までほとんど投げていない球種。「意表を突いて、ですね」。対戦打率・323の1番ペドロイアには2球連続カーブとスライダーで追い込み、148キロシンカーで二ゴロ。「いろんなボールを投げないと抑えられない。カーブを投げつつカウントを整えられたのは大きかった」。収穫を口にした。
四回以降は切れあるシンカーを軸にした。五回無死二塁のピンチもシンカーで2死を奪い、最後はこの日最速151キロで中飛に仕留め、右手こぶしを振り下ろした。その力投にこたえるかのように味方打線が今季最多の5本塁打で援護した。
昨季はレ軍戦6試合で1勝4敗、防御率4・88。カーブを多投したことに「今だからできること。“エサまき”は必要ですから」と説明した黒田。メジャー通算70勝目を手にした投球内容に「僕自身の幅も広がる」と言った。チーム最高齢の39歳。進化の歩みを止めることはない。