マエケン鯉ファンに届けた感謝と決意

 広島からポスティングシステムで米大リーグ・ドジャースと8年契約を結んだ前田健太投手(27)が11日、マツダスタジアムで記者会見を行い、「感謝」の思いを示した。カープのために全てを注いだ9年間を振り返りつつ、世界最強の打者が名を連ねるメジャーの舞台で結果を出すことを約束。年俸総額は2500万ドル(約29億5000万円)と抑えられたが、“広島魂”を胸にその低評価を覆してみせる。

 無数のフラッシュの中、赤いネクタイを締めた前田が席に着く。広島で行う最後の会見。真っすぐに前を向き、話し始めた。

 「広島は僕にとってすごく大事な場所。広島で、広島カープで野球ができたことを誇りに思う。結果を出して恩返しできるように頑張りたい」。夢をかなえて飛び込む新世界。これまでの感謝の思いと、未来への強い決意を丁寧につむいだ。

 「日本一の投手になりたい」とプロの世界に足を踏み入れた右腕は、それを有言実行してきた。最多勝や沢村賞など9年間で獲得したタイトルは数多い。侍ジャパンでもエースに上り詰めた。「僕がマエケンと呼ばれ始めたのは、カープに来てから。ファンの期待に応えたいと練習に励み、結果を残すためにマウンドに上がってきた」。温かい声援を受け、時に叱咤(しった)された。その全てを力に変えてきた。自らが成長することが、ファンの夢をかなえることだと信じていたから。

 ドジャースとは8年契約。それが満了するのは23年になる。「終わったころは35歳。結構、衰えていると思う」。黒田のように古巣復帰を期待する鯉党は多いはずだが、メジャー投手史上最長タイとなる契約を結んだのは強い覚悟があるから。「もちろん愛着はある。でも帰って来ることより向こうで結果を残すことだけを考えたい」。前進するだけ。退路は断った。

 背番号はカープと同じ18番。ドジャースのユニホームの胸の部分には、赤い色で「18」が縫い付けられる。「赤色はすごく大事な色。赤と青、両方を大事にして、これからの野球人生を頑張っていきたい」。“広島魂”を胸に秘めて世界に挑む。全米にその名前をとどろかすため、前田健太が広島に別れを告げた。

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