イチ500盗塁、また新たな伝説
「ブルワーズ3-6マーリンズ」(28日、ミルウォーキー)
マーリンズ・イチロー外野手(42)がブルワーズ戦の一回に二盗を決め、大リーグ通算500盗塁を達成した。大リーグ機構公認の米記録専門会社によると、メジャー史上39人目。オリックスで199盗塁を記録しており、あと1個で日米通算700盗塁に到達する。通算盗塁の大リーグ記録はリッキー・ヘンダーソンの1406個で、プロ野球記録は福本豊の1065個。通算2945安打をマークするイチローは、史上8人目となる「2900安打、500盗塁」の達成者にもなった。
メジャー16年目にして到達した高みにも、冷静だった。一回、イチローは鋭い当たりで一、二塁間を割り、出塁。直後のプラードの打席で、3度けん制される間にタイミングをつかんだ。10球目にスタートを切ると、捕手の送球が一塁側に大きくそれてイチローの足に当たり、悠々セーフ。通算500盗塁を知る同僚たちはベンチ前で拍手を送り、帽子を取ったが、背番号51は小さくうなずいて応えただけだった。
「特別な感慨はないです。随分と時間がかかってしまった、という印象ですね」。メジャー史上39人目となる節目をこう振り返り、「レギュラーで出ていないと、1(盗塁を増やすまで)の距離感が全然違う」。今季2個目の盗塁を決めるまで16試合を要した現状を、しっかりと受け止めた。
前夜ロサンゼルスでナイターを戦い、ミルウォーキーに着いたのは早朝だった。試合前の全体練習はなく、主砲スタントンは休養。ベテランには過酷なはずの状況で、速さと野球センスを示す大記録に届いたイチローは「寝ることだけ。寝られれば全然問題ない。みんながしんどくなったら僕がいくパターンですから」と事もなげに言う。
「2900安打&500盗塁」は史上8人目の快挙だ。42歳にして衰え知らずの男は、日米通算700盗塁にも王手をかけた。