「ツインズ３－１０マーリンズ」（９日、ミネアポリス）

　マーリンズ・イチロー外野手（４２）はミネアポリスでのツインズ戦に「１番・右翼」で出場し、５打数２安打１打点、２得点でピート・ローズの持つメジャー歴代１位の４２５６安打まで日米通算であと５本とした。複数安打は３試合連続。一回に右前打して後続の適時打で先制の生還。２－２の七回は右前へ勝ち越し適時打を放ち、１０－３の快勝に貢献した。

　漆黒のバットが奏でた快音が猛攻の合図だ。同点の七回１死一、二塁。カウント２－１からの４球目、甘く入った１５０キロ速球をイチローが逃すはずはなかった。鮮やかなラインドライブの打球が右翼の芝に弾む。打線を勢いづける勝ち越し打。打者１２人で一挙７点を奪い、試合を決めた。

　初回にも右前打を放って４試合連続安打。約３年ぶりに対戦した先発のサンタナはメジャー人生で最も多くヒットを献上しているイチローに「簡単そうに打ってるよね」と完全にお手上げ状態だった。

　イチローにとって１４年７月以来となるツ軍戦。感激したのは３連戦初戦の試合前の出来事だ。自軍ベンチの前でストレッチをしているところへ敵軍のモリター監督が自ら足を運び、あいさつにやってきたのだ。同監督とは０４年のマリナーズで打撃コーチと選手の間柄。イチローの大ファンだと公言する敵将が示した敬意に「わざわざ来てくれた。あんなことありえないからね。あれはうれしかったですね」と言って表情を緩めた。

　その喜びを表現するかのように全３試合で複数安打を記録。合計７安打３打点４得点をマークし、「いいとこ見せたいからね」と満足感を漂わせる。モリター監督の指導の下、年間２６２安打のメジャー記録を樹立した０４年を再現するかのような打棒。八回に喫した空振り三振が４７打席ぶりだったことからも好調ぶりはうかがえる。

　メジャー通算３３１９安打の記録をもつモリター監督は１２年前のキャンプ地でイチローから「どうすれば３０００安打を打てますか？」と聞かれてこう答えている。

　「４２歳までプレーしなさい」

　メジャー通算３０００安打まであと２７本。ローズの記録まであと５本。４２歳のヒットメーカーが２つの偉業に向かって突き進む。