イチロー「この1本は彼にあげます」代打で事故死のエースに捧げる一打
「マーリンズ7-3メッツ」(26日、マイアミ)
マーリンズのイチロー外野手(42)はメッツ戦の七回に代打で出場し、左前打を放った。メジャー通算3029安打。守備には就かず、1打数1安打で打率は・291。若きエース、ホセ・フェルナンデス投手(享年24)の事故死から一夜明けの試合で快音を響かせ、亡き同僚に捧げた。
フェルナンデス投手の死去により、前日のブレーブス戦は中止。2日ぶりの公式戦となったイチローの出番は7-2の七回2死一塁の場面だ。カウント2-2からの6球目、外角高めの148キロ速球を左前へ弾き返した。
この日は大リーグ機構の許可を得て、マーリンズの選手、首脳陣全員が同投手の背番号「16」と「FERNANDEZ」が入ったユニホームを着用。イチローは「袖を通したときは普段の気持ちとは違いますが、でも、きっと、普通どおりにやることが彼の望んだことだと僕はそう信じていたので…。僕ができることをきょうも同じようにやった、というそんな一日でしたね」としみじみ話した。
試合前には同投手の追悼式典が行われた。国歌斉唱の後、同投手が6日前に立ったマウンドに全員が集まり、円陣を組んでからプレーボールを迎えた。
イチローは同投手がことあるごとに「一日でもいいから、あなたのようになりたい」と言っていたこと、さらには、試合中に出番に備えて体を動かしていると必ずそばにやって来て「YOU ARE THE BEST(あなたは最高だ)」と言っていたという思い出話を披露。
特別な試合で1安打したことを問われると、「うーん」としばらく考えた後、柔らかな笑みを浮かべて「この1本は彼にあげます」と言った。