イチロー「この1本を彼に」急逝した戦友ホセに捧げる左前打
「マーリンズ7-3メッツ」(26日、マイアミ)
マーリンズ・イチロー外野手(42)が急逝したエースに安打を捧げた。24歳の若さで事故死したホセ・フェルナンデス投手の背番号「16」をナインが着けて臨んだ一戦で、七回に代打で出場。左前打を放った。
亡きエースの「16」を背負って打席に立った。フェルナンデスの事故死から一夜明けの試合。七回に代打で左前打を放ったイチローは「この1本は彼にあげます」と言って柔らかな笑みを浮かべた。
25日未明のボート事故。午前9時半頃に届いた訃報を信じられなかった。午後に球場で行われた記者会見に同席。故人の家を弔問し「どうやらそうだ」という気持ちになった。
事故後初めて臨んだ試合。亡き友が一番喜んでくれることを考えた。「今日は特別な日でしたけど、ホセは僕のやっていることを変えてほしくない(だろう)と思ったので、いつものように準備した」。ユニホームの着こなしやアイテムも変えなかった。「16番に袖を通したときは普段の気持ちとは違った。でも、普段通りにやることが彼の望むことだと僕は信じていた」としみじみ言った。
試合前には同投手が6日前に立ったマウンドに全員で集まり、円陣を組んだ。初回、ゴードンが先頭打者弾を放つと若い選手たちが号泣した。弔い星を手にした後、再び、マウンドで輪になり別れを告げた。
今も鼓膜に残る声は「一日でいいからイチみたいになりたい」と「YOU ARE THE BEST」の2つ。「やっぱりいないんだ。ほんとなんだ。そう思わされた一日でした」。陽気な24歳の青年はイチローの心の中に生き続ける。