イチロー「メジャーの洗礼受けました」 今季初実戦は2打数無安打1四球
「オープン戦、マーリンズ7-7アストロズ」(5日、ジュピター)
マーリンズのイチロー外野手(43)は今季初実戦となったアストロズとのオープン戦に「8番・指名打者」で出場し、2打数無安打1四球、1得点だった。二回の第1打席は空振り三振、四回は遊ゴロ、六回は四球。八回に代打を送られて退いた。試合は7-7の引き分けだった。
たまらず球審の方を振り向いた。今オープン戦初打席となった二回1死一塁の場面。フルカウントからの6球目、内角低めの直球にバットを止めた。自信をもって見送ったはずが、ヘルナンデス球審はスイングしたと判断。空振り三振を宣告された。スタートを切っていた一塁走者も二塁で憤死。一瞬にして攻守交代となった。
球審と言葉を交わし、不満げな表情でベンチに戻ったイチロー。「メジャーの洗礼を受けました。17年目にして」。試合後は苦笑いするばかりだった。
2月21日の守備練習中に同僚と交錯し、右脚と腰を負傷。その後は別メニューで調整し、2日に全体練習に合流した。9日遅れの初実戦。昨季メジャー史上30人目の通算3000安打を達成したイチローの登場に観客席からは誰よりも大きな歓声が起こった。
「きょうはだから抑え目にいかないと、ね。100でいくわけにはいかない」
全体練習に復帰した日に「手を抜くという意味ではなく、感覚的に少し抜いてやるという感じ」と話している。その言葉をフィールドで実践した。
マッティングリー監督によると、最後の3打席目は選手の判断で追加したという。負傷した箇所を悪化させることなく、試合を終えた。
「これは僕にとって大きな一歩ですね。練習の動きは自分でコントロールできるけど、ゲームの動きはそうはいかない。その中でなんとかプレーできるという感触を得たことが大きいですね」
そして、こう続けた。
「怖い一日だったし、何もなければ大きな一歩だし」。
6日のメッツ戦は出場メンバーから外れ、7日のカージナルス戦で守備にも就く予定だ。17年目の開幕に向けて、イチローが一歩ずつ前に進んでいく。