元中日チェン「イチローさんのおかげ」メジャー6年目で初安打
2011年まで中日で活躍したマーリンズのチェン・ウェイン投手(31)が今季初登板となった7日(日本時間8日)のメッツ戦で6回7安打1失点と好投し、シーズン初勝利を挙げた。打っては、四回の第2打席で遊撃内野安打を放ち、メジャー6年目で初安打を記録した。
ボテボテの当たりに懸命に走った。一塁を駆け抜けた後、ヒル一塁ベースコーチから声をかけられ、笑みをこぼした。ベンチからこぶしを天に突き上げ、歓喜する仲間たちの姿が見えた。
メジャー6年目。初打席から数えて58打席目(6犠打含む)で記録した初安打。米データ会社の調べによると、デビューから52打数目でのヒットは1900年以降では4番目に長い記録。“歴史的安打”を記録したチェンは日本語で「勝ったこと(勝利投手)より初ヒットの方がうれしいです。みんなもすごく喜んでくれたし」と真顔で言って笑わせた。ロッカーにはウイニングボールではなく、初安打のボールが保管されていた。
11年から15年はDH制のあるア・リーグに所属するオリオールズでプレーしたため、5シーズンの合計打席数はわずか7だったが、ナ・リーグのマーリンズへ移籍した昨季は49打席。しかし、5つの犠打を含め、一度も快音を響かせることはできなかった。シーズン初めは利き腕の左腕や左肩を守るために左打席に立っていたが、途中から元々得意だった右打席に変更。それでも結果を出すことはできなかった。
シーズン終了後に母国、台湾に戻った際には周囲から「初ヒットはいつ出るの?」と冗談交じりに言われたという。友人の助けを借りて打撃改善に取り組み、バットも同僚で15年首位打者のゴードンのモデルに変更。メジャー初安打に並々ならぬ意欲を見せた。
この日はイチローの“サポート”もあった。昨季は先発した試合のベンチでは、イチローとは一人分、空けた場所に座っていたが、「きょうは隣にいてくれた」とチェン。「すぐに来て『おめでとう』って言ってくれた。イチローさんのおかげで出たのかな、とも思う」と笑顔を見せた。
本職では初回に先制点を許したが、味方打線が二回に3点を援護。二回以降は走者を背負いながらも粘りの投球でスコアボードに「0」を並べた。
バッテリーを組んだ新加入のエリスからはオープン戦の時から色んな助言があったという。「パーフェクトの場所に投げようとするんじゃなくて、自信をもって自分の球を投げるように、と言われた。きょうはそれができて、安定感が出てきた。自分のピッチングができた」と感謝した。