イチロー御礼1号!3年ぶりシアトル凱旋でメジャー17年連続プロ25年連続弾
「マリナーズ10-5マーリンズ」(19日、シアトル)
マーリンズのイチロー外野手(43)が、かつて本拠地だったシアトルでの古巣マリナーズ戦で、メジャー1年目から17年連続本塁打、オリックス時代を含めれば25年連続となる今季1号ソロを放った。今季初打点でメジャー通算761。ヤンキースなどで活躍した松井秀喜の日本選手最多記録を塗り替えた。
打席に入る前から決めていた。6点を追う九回。古巣との交流試合最終戦、最後の打席に立ったイチローはホームランを狙うことしか考えていなかった。相手投手が初対戦なんて関係ない。初球、高めに浮いた150キロ直球を渾身(こんしん)の力で打ち砕いた。
「詰まってたからねぇ。外野手(の頭)は越えたと思ったんだけど、あの感じでホームランを打ったことはなかったんで」
打球の行方を目で追いながら半信半疑で走りだす。滞空時間4・8秒。飛距離115メートル。右中間席最前列ぎりぎりに飛び込む今季1号。熱狂した観客がイチローの名前を連呼する。「印象に残るわねぇ、これは」。快感が全身を駆け巡った。
3年ぶりの凱旋試合。先発出場した第1戦は、試合前に昨年8月に達成したメジャー通算3000安打を称える式典が催されたが、無安打に終わった。2戦ぶりにスタメンで起用されたこの日は、先着2万人の入場者にイチロー首振り人形が配布された。
「これだけ盛り上げてくれて寂しい感じで帰りたくない」
14打席ぶりのヒットとなった四回の左前打と合わせて、今季初のマルチ安打をマーク。オリックス時代の93年からの連続本塁打記録を25年に伸ばした。今季初打点でメジャー通算761打点。ヤンキースなどで活躍した松井を抜き去り、日本選手のメジャー記録を更新したと伝えられると、「うれしいとかそういうことは別にいいじゃないですか」とイチロー節で受け流した。
10月で44歳。両球団の所属するリーグが異なるため、次の凱旋がいつになるかは分からないが、「『ひょっとしてこれが最後か』なんて考え方は全くなかった」と言い切る。
シアトルでの3試合を振り返り、「全部、期待以上のもので表現してくれるから、打てて本当によかった、最後に」と安どしたイチロー。見る者の心を揺さぶった一振りには、感謝の気持ちがぎっしり詰まっていた。