イチロー「甘いところに来れば狙おうと」初球バントの構えから自己最長132メートル弾
「ダブルヘッダー第1試合・フィリーズ8-12マーリンズ」(22日、フィラデルフィア)
マーリンズのイチロー外野手(43)は同点の七回無死一、二塁から代打で出場し、決勝3号3ランを放った。守備には就かず、1打数1安打3打点、1得点で打率は・248(149打数37安打)。メジャー通算3067安打。代打でのシーズン安打数は球団記録に並ぶ21本となり、ジョン・バンダーウォール(95年)のもつ28本のメジャー記録まであと7本とした。
打球を見上げた右翼手がすぐに追うのを諦めた。打った瞬間、それと分かる完璧な一撃。3-3の七回無死一、二塁。敵地ファンの拍手を受けて打席に入ったイチローがカウント3-1からの5球目、先発右腕ノラが投じたやや内寄りの148キロを鋭く振り抜き、右中間席中段へたたき込んだ。
どうしても1点が欲しい場面。「最初は二、三塁にしようと思ったんですけど」。初球でバントの構えを見せたが、2ボールとなったところで色気を出した。
「バントのサインは出てませんから。だから、甘いところに来れば狙おうかな、という感じですね」
手ごたえ十分。打球の着地点を確認しなかったのは「この球場だから行ったとは思いました」とイチロー。データ解析システム「スタットキャスト」によると、快音とともに弾かれた打球の速度は100マイル(約161キロ)29度の角度で飛び出し、飛距離は432フィート(約131・7メートル)だった。
05年7月30日のインディアンス戦で記録した428フィート(約130・5メートル)を上回るメジャー自己最長となるホームラン。10月で44歳になる男は苦笑いを浮かべながら「あ、そうですか。そんな感じはしなかったですけどね。そういう感触はなかった。越えるとは思いましたけど」と言った。
イチローの本塁打は6月11日のパイレーツ戦以来、51戦82打席ぶり。代打での一発は昨年9月6日以来、自身2本目。対戦相手はこの日と同じフィリーズだった。
試合は、マーリンズが七回にイチローの勝ち越し弾が飛び出した後、スタントンが46号ソロを、オズナが28号2ランを放って一気に突き放し、快勝した。
◇イチローの最長本塁打ベスト5
1・432フィート(約131・7メートル)17年8月22日、フィリーズのアーロン・ノラ投手から
2・428フィート(約130・5メートル)05年7月30日、インディアンスのCC・サバシア投手から
3・424フィート(約129・2メートル)04年8月15日、ヤンキースのケビン・ブラウン投手から
4・422フィート(約128・6メートル)10年6月14日、カージナルスのアダム・ウェインライト投手から
5・414フィート(約126・2メートル)03年5月10日、ホワイトソックスのバートロ・コローン投手から。05年7月22日、インディアンスのスコット・エラートン投手から