ダルビッシュ「苦しい時期がなかった人いない」メジャー最速1000奪三振も12敗目
「ドジャース4-5ロッキーズ」(8日、ロサンゼルス)
ドジャースのダルビッシュ有投手(31)がロッキーズ戦に先発し、3点のリードを守り切れず、五回途中5安打5失点で12敗目(8勝)を喫した。2四球、6三振で球数は90。チームは8連敗となった。四回に通算1000奪三振を記録し、ケリー・ウッドの134試合を上回るメジャー史上最速の128試合目で偉業を成し遂げた。
移籍後3度目の本拠地先発。3点リードの五回に4本の二塁打を浴びて逆転を許した。前回2日の敵地でのパドレス戦では自己最短の3回0/3、5失点KO。雪辱を期してのマウンドだったが、またしても地元ファンの前で快投を披露することはできなかった。
「カウントを悪くなってしまったのが一番の原因。カウントを悪くしてしまったから流れが悪くなったという感じですね」
8月末から投球フォームの改造に着手。「この前までの3試合はずっと投球フォームのことを考えながら投げてましたけど、きょうは考えずにすごくいい感じで四回まで投げられました」。本人が言うとおり、四回まで許した安打はソロ本塁打の1本だけ。1四球、6奪三振。球数は68とかさんだが、「四回まではかなり良かった。自分中では次につながる。プロセスを一歩一歩踏めてるという感じはあります」と確かな手応えを口にした。
四回にはメジャーの歴史を塗り替えた。史上最速となる128試合目での通算1000奪三振をマークした。場内の大型スクリーンが記録達成を伝えると、地元ファンは拍手と歓声で祝福したが、ダルビッシュに笑顔はない。
「(チーム内の)何人かにおめでとうございますと言っていただきましたが、そういう状態じゃないので。七、八回投げたいし、勝ちたいし。1000三振といっても、自分の中では、どうでもいいわ、と思ってました」
笑顔を見せなかった理由はもう一つある。「皆さんも知ってるとおり、自分の場合は25歳、26歳で(メジャーに)来てるんで、ある程度でき上がった状態で来てますから。他の投手たちはルーキーイヤーがあって、メジャーを勉強していきながらの結果なので、僕と同じとは思ってません」とダルビッシュ。「自分の中では一番速いのが凄いというよりも1000三振を取るまでプレーしてるっていうのが誇れるかなと思います」と続けた。
この日は登板前のブルペンでの投球練習時から投球動作、テンポを意識して速くした。
「(左)足を上げてから(ボールを手から)リリースするまでの時間が他のピッチャーより長く使えるのが僕の特長なんですけど、調子が悪くなってしまうといろんなものを詰め込んでしまって一定のフォームで投げられなくなることがある。きょうはその時間を短くすることによって、考えられる数を減らすという狙いがあった。無駄なことを考えずに投げられた」
7月末にレンジャースからトレードされた後に2連勝。しかし、そこから3連敗。結果が出ない状況が続いているが、「そういうのって野球だけじゃなく、人生もそう。誰だって死ぬまでずっとうまくいくことはない。うまくいってない時も僕の人生の一部ですから、それはそれで受け止めてます。でも自分は諦めたり、前に進むのをやめることはだけはしないって決めてるので、これからもずっと戦います」とダルビッシュ。「苦しい時期がなかったという人はないと思う。僕は何回もありますから。今はそういう時期。人生の勉強と思ってます。課題を一つずつクリアにしていって現状を打破したい」。敗戦直後の記者会見。その目はすでに明日を見ていた。