大谷翔平「すごい楽しかった」1被弾含む2失点も最速は156キロ

 「オープン戦、エンゼルス6ー5ブルワーズ」(24日、テンピ)

 エンゼルスの大谷翔平投手(23)が投手として実戦デビューを果たし、1回1/3を投げてソロ本塁打を含む2安打2失点、1四球2奪三振だった。打者7人に31球を投げてストライクは17球。予定の2回を投げ切ることなく、降板した。

 全米注目の二刀流選手のお披露目。試合前のウォームアップで大谷が右翼フィールドに現れると、背番号「17」のTシャツやユニホームを着たファンらが右翼線側席に殺到した。

 この日は本拠地、ディアブロ・スタジアムの“開幕戦”。客席はその一挙手一投足に敏感に反応した。初回。先頭ビラーへの初球と2球目が連続で低めに外れる。球速はいずれも149キロ。客席に「カモーン!」、「オーライ、ショウヘイ」。不満と声援が交錯した。カウント3-1から投じた151キロが中堅手の頭上を越える。落胆の声が漏れた。

 大谷が実戦のマウンドに上がるのは昨年10月4日以来。右足首手術から復帰して初めてとなるが、「実戦の勘みたいなものはシーズンの最初は難しい。今日も慣れない所で難しいところはありますけど野球自体は変わらない。今日は自然体で入ることができました」と言い切った。

 スタンドを歓喜させたのは次打者・オルフの時だ。カウント2-2から投じた138キロフォークで空振り三振を奪った。“メジャー初奪三振”。大リーグ公式サイトはまだ登板中にも関わらず、三振シーンの動画をアップ。「ビューティフル」と絶賛した。

 3番のチョイには初球がこの日最速の156キロを計時。続く球も154キロ。エンジン全開かと思いきや、しかし、制球が定まらず、四球を与える。4番・ピネには三振を狙って投じたフォークが暴投、さらに捕手の二塁への送球が悪送球となり、二塁走者を生還させた。しかし、後続を捕邪飛、見逃し三振で追加点を許さず。この日2つ目の三振を奪ったフィリップスへの2球目には110キロのカーブを内角低めいっぱいに決めて観客をどよめかせた。

 メジャーの洗礼も浴びた。二回。実質メジャー3年目のブログストンにカウント1-1から高めに浮いた144キロ直球を左翼芝生席へ運ばれる。打った瞬間、それとわかる一撃。マウンド上の大谷は口を真一文字に結び、険しい表情を浮かべた。

 日本では味方の攻撃中にベンチ前でキャッチボールができたが、メジャーでは禁じられている。「そこが今日はちょっと違った。けっこう攻撃も(1回裏に)点を取ってくれて(待ち時間が)長かったので、切り替えというか、体を温めながら、なおかつキャッチボールができない中でどうやって2イニング目の先頭を抑えていくかっていうのはすごく勉強になった」。

 続くフランクリンを左飛に打ち取ったところで球数は31球。試合前の会見で「35~40球」と話していたソーシア監督だったが、そこでベンチから飛び出し交代を告げた。歩いてベンチに下がる背番号「17」に客席から温かい拍手と歓声が送られた。

 降板後は室内でトレーニングを行った大谷は右肩と右肘をアイシングした状態で会見場に現れ、開口一番、「内容はともかくとしてすごい楽しかったです」。収穫と課題を問われると「全体的にカウントの球が甘かったですし、なんとなく探りに行っている感じがあったので、そこは次回以降しっかり修正したいなと思っています。追い込んでからのフォークボールがブルペンでもあまりいい感覚がなかったんですけど、試合で投げた方が比較的いいポジションに落ちてくれた。そこは良かったと思います」と答えた。

 この日の会見場には日米だけでなく、韓国や台湾のメディアの姿もあった。大きな注目を集めたオープン戦初登板。大谷は「緊張も特になく、日本と同じようにシーズンの最初という意味ではどうなるのかなあという感じはありましたし、1回目の登板からビシビシ決まることはないので、そういう点では例年どおりの感じかなと思っています」と淡々と話した。

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