エンゼルス・大谷、初登板初勝利 ベーブ・ルース以来99年ぶり歴史刻んだ92球
「アスレチックス4-7エンゼルス」(1日、オークランド)
エンゼルスの大谷翔平投手(23)が敵地でのアスレチックス戦に先発でメジャー初登板し、6回を1本塁打など3安打3失点、6三振で勝利を挙げた。開幕戦に野手で先発出場した選手が、開幕から10試合以内に投手で先発するのは1919年のベーブ・ルース以来99年ぶり。新たな伝説の扉を開く、本格的な二刀流挑戦がいよいよ始まった。
23歳の若者が99年ぶりに扉をこじ開け、神の領域に足を踏み入れた。米国時間4月1日、午後1時11分。初球に選んだのは日本で培ってきた、真っすぐに伸びる154キロの速球。メジャー史にSHOHEI OHTANIの名を刻んだ瞬間だった。
「SHO TIME!(翔の時間だ!)」。試合開始2時間半前、スーツ姿でクラブハウスに到着した大谷に向かってチームリーダーのトラウトが叫ぶ。3月29日の開幕戦に打者で出場した選手が、3日後にマウンドへ上がる。まさにショータイムだった。
誰よりもワクワクしていたのは大谷自身だ。「楽しい気持ちが緊張感を上回っていた」。初回。先頭を142キロのフォークで空振り三振。3番への初球は渡米後最速の100マイル(約161キロ、中継局計測)。三者凡退。アドレナリンが体内を駆け巡った。
味方打線が二回に2点を援護したのもつかの間、直後に逆転3ランを浴びた。甘いスライダーを7番に左中間へ持っていかれた。「ブルペンよりもマウンドの方が傾斜は強かった。腕を振るポイントが少し遅れた」。熱狂が渦巻くフィールド。しかし、頭は冷静だった。
そこから大谷が本領を発揮する。要所要所で伝家の宝刀を惜しげもなく抜き、被弾後に許した安打数はゼロ。フォークを1球もそらさなかった捕手のマルドナドには「すごい感謝したい。切り替えるきっかけになった」。ソーシア監督は「球速だけに頼らず、すべての球種をうまく使っていた」と92球の力投を称えた。
メジャーでの二刀流をついに実現させた。しかし、大谷は「ここまで来たんだなというよりは始まったなという感じの方が強い」と言い切る。チームは開幕戦黒星の後に3連勝。「いいスタートが切れた。でも今日良かったからといって次もいいとは限らない」。162試合の長丁場。どんな時も前を向ける心の強さが大谷にはある。