七回1死までパーフェクトな大谷 12Kで2連勝
「エンゼルス6ー1アスレチックス」(8日、アナハイム)
エンゼルス・大谷翔平投手(23)がアスレチックス戦で本拠地初登板し、7回1安打無失点、毎回の12奪三振で開幕2連勝とした。七回1死で安打を浴びるまで走者を出さない快投で、開幕10試合で2勝&3本塁打以上は1919年に投手で活躍したジム・ショー(セネターズ)以来、99年ぶりの快挙だ。9日のレンジャーズ戦は欠場見込みで、早ければ10日(日本時間11日)の同カードに指名打者で出場し、4戦連続本塁打に挑む。
右こぶしを握りしめ腹の底からほえた。超満員4万4742人が埋めたスタンドが赤く燃え上がる。七回2死二、三塁。この日唯一のピンチで大谷が伝家の宝刀を抜いた。
「声援に後押しされた。抑えられる雰囲気を球場全体に作ってもらい、最後ああいう形で打ち取れて良かった」。魂の91球。記録ずくめの快投だった。
打者として本拠地3試合連続本塁打をやってのけた二刀流の本拠地初先発。初回から次々とフォークを投げ込んだ。先頭ジョイスを137キロの落ちる球で斬ると、3者連続三振の好発進だ。
「自然体で臨めました」。その後も最速160キロの直球にフォークとスライダーを織り交ぜて、凡打の山を築き、打者19人をパーフェクト。「五回ぐらいに気付きました」。どよめきと歓声が渦巻くフィールドで黙々と右腕を振った。
落胆の声は80球目だ。七回1死、セミアンに左前打を許して完全試合の夢が消えた。「来る時が来た。いつ出るか、という感じで待っていた。出た時にどう気持ちを整理して次の打者にしっかり向かっていけるか」。表情ひとつ変えなかったが、次打者に4球連続ボール。それでも気持ちを切らさず、最後は狙い通りの空振り三振で“ショウ”タイムを締めくくった。
この日奪った空振り25は今季メジャー最多。捕手のマルドナドは「直球の制球なしにはフォークで空振りは取れない。思い通りに投げられる直球が相手に重圧をかけていた」と快投を分析した。
開幕10試合で2勝&3本塁打はベーブ・ルースでさえも成しえなかった偉業。地元ファンの前で二刀流が本物だと証明した大谷は「何より期待に応えることがちょっとでもできてうれしさを感じている」と言った。
開幕10戦7勝3敗。チームとともに最高のスタートを切った。「相手は僕のことをあまり理解していない状態なので今はいい方に転がってますけど、難しくなった時にその壁をしっかり破れる準備をしていきたい」。あくまで謙虚な二刀流の快進撃はこれからも続く。