大谷3勝目 憧れイチローの前で快投7回途中2失点 復帰即首位導いた
「マリナーズ2-8エンゼルス」(6日、シアトル)
エンゼルスの大谷翔平投手(23)がマリナーズ戦に先発し、七回途中6安打2失点で3勝目(1敗)を挙げた。左足首捻挫の影響で12日ぶりの登板だったが、全球種をバランスよく使った配球で相手打線を翻ろう。憧れの存在、マ軍会長付特別補佐に就任したイチロー外野手(44)の前で好投を披露し、チームを首位に浮上させた。
敵地ファンのため息が耳に心地よかった。11日間のブランクを全く感じさせなかった98球。「個人的にもチームとしても、勝てたのがすごくよかった」。4月8日以来、約1カ月ぶりとなる勝利の味を大谷がかみしめた。
ケガからの復帰戦。今季初となる控え捕手リベラとのコンビ。心配された立ち上がりで多投したのはカーブだった。「マウンドに行く前に決めていた」。過去4試合で最多でも3球しか投げていない球種を1イニングで4球使った。データの裏をかく配球で初回は三者凡退。完全に相手の出はなをくじいた。
六回まで三塁を踏ませない安定感だった。「アメリカに来てから一番思った通りに投げられました」。12日前の登板で6球あった100マイル(約161キロ)超えはゼロ。落差41キロの緩急、スプリットの縦とスライダーの横の変化を駆使し、女房役のリベラも「ファンタスティックだった。すべての球種が機能していた」と絶賛した。
マ軍には憧れの存在、イチローがいる。3月にキャンプ地アリゾナで一緒に食事。「僕は終始緊張している。そうさせないような感じで話してくださるところがありがたいです」。実現しなかった直接対決には「そこは過ぎたことなので正直、何もない」と話しながら、勝つ投球を見せることができ、満足感を漂わせた。
悔やんだのは6-0の七回に許した2ランと四球。「(相手に)まだチャンスがあるかもしれないと思わせるような降り方は一番よくない」。結果を出しても反省するのは向上心の表れ。23歳が秘めている可能性は無限大だ。