大谷に人類最速左腕チャプマンも強烈意識 今季初の“前倒し”登板で全球直球勝負
「ヤンキース2-1エンゼルス」(25日、ニューヨーク)
大谷への強烈な警戒心の表れだった。
ヤンキースは八回、1死一塁で主砲・プホルスを遊直に打ち取った。5番・大谷を迎えたところでブーン監督がベンチを出て、ロバートソンから守護神チャプマンへの交代を告げた。
チャプマンにとって、今季初の“前倒し”での登板。大谷には大ブーイングが浴びせられる一方で、本拠地の大歓声が守護神を出迎えた。
チャプマンも大谷への強烈な意識を伺わせた。マウンド上から鋭い眼光を飛ばし、全球直球勝負。初球は160キロ外角直球が外れてボール、2球目は159キロが引っ掛かり、暴投で走者が二進した。
一打同点の場面となったが、怪物左腕は慌てない。3球目は高め160キロを投げ込み、バックネットに飛ぶファウル。4球目161キロは左翼ポール際への大飛球となり、悲鳴も上がったが、チャプマンはすぐにファウルと確信し、球審にボールを要求した。
敵地がざわめく中で、2-2からの5球目はこの日最速の164キロ。力で遊ゴロにねじ伏せた。
守護神は九回もマウンドに上がり、今季初のイニングまたぎ。三者凡退で締め、チームに勝利をもたらした。
大谷への警戒心は、先発のセベリーノも同じだった。メジャー屈指の速球派で今季は開幕投手も務めたが、4月27日の対戦では大谷に右翼席へ本塁打を打たれた。「もう内角は投げない」との言葉通り、この日は外角中心の配球。見逃し三振、四球、遊ゴロでノーヒットに抑えた。大谷は結局、3打数無安打だった。
ヤンキースは昨オフに大谷がポスティングシステムを使ってメジャー移籍を表明した際に米主要メディアが大谷の移籍先として「最有力」と報じた球団。しかし、同選手が最終面談を行った7球団にも入らなかったことからキャッシュマンGMが不快感をあらわにした経緯もあり、この日の敵地ファンの反応が注目されていた。打席に入るたび、ファンが大ブーイングを浴びせた大谷に首脳陣も選手も強烈な意識を燃やし、勝利を手にした。