大谷 悔し2三振 マー君と5年ぶり対決“完敗”「振らされてるという感じ」
「ヤンキース3-1エンゼルス」(27日、ニューヨーク)
エンゼルスの大谷翔平投手(23)がヤンキース戦に「4番・指名打者」で出場し、田中将大投手(29)と日本ハム時代の13年9月以来、5年ぶりに対戦した。3度の対戦で2三振1四球で無安打に抑えられたが、自身の進化を実感する打席もあった。3戦連続無安打は自身メジャー初。田中は6回3安打1失点、8三振3四球で6勝目(2敗)。今季最多の104球の快投で力の差を見せつけた。
ブーイングを浴びながら打席に向かう4番・大谷に感慨はなかった。マウンドに目を向けることなく、いつものように球審と捕手に一声かけた。「普段と変わらずに1打席1打席、自分の仕事ができればいいと思っていきました」。頭の中は冷静だった。
5年ぶりの田中との対決。いきなり力の差を見せつけられた。初回2死一塁。フルカウントから内角スライダーに黒塗りのバットが空を切った。初球は140キロのスプリットで全6球中、直球は2球。「変化球の割合がすごく多い。微妙に動いたりとか」。田中に対する第一印象。時間の流れを実感した。
自身の成長を確信したのは次の打席だ。0-3の四回無死一塁。四球を選んで好機を拡大した。「しっかり見極められた。(相手から)もらったのではなく、(自分が)取ってる四球。ボールの見え方とかは進歩している」。5年前と同じだったのは抜群の制球力だ。「枠の隅を突いてくるようなコントロール。ある意味、四球を取ることはヒットより難しい」とまで言った。
3度目の正直とはいかず、六回は142キロスプリットに再び空振り三振。「審判も巻き込んでストライクと言わせるような素晴らしいコントロール。自分が振らされてるという感じでした」
2点を追う九回は抑えのチャプマンから四球を選んだ。2日前の初対決では164キロ直球で遊ゴロに打ち取られた左腕に揺さぶりをかけ、2暴投で三進した。しかし、後続にあと1本が出なかった。
ゲームセット直後、すぐには引き揚げず、ベンチ前で最後の打者となった同僚を待ち、ねぎらいの声を掛けた。「勝てるチャンスがいくつもあった。悔しさが残るゲームだった」。大谷が一度だけ「悔しい」という言葉を口にした。