投手大谷が帰ってきた 初回に160キロ 2敗目喫すも肘の不安払しょく
「アストロズ4ー2エンゼルス」(2日、ヒューストン)
エンゼルスの大谷翔平投手(24)がアストロズ戦に先発し、右肘の内側側副靱帯(じんたい)損傷から6月6日以来の投手復帰を果たし、投打の「二刀流」が復活した。腰の張りや右手薬指を痛めるアクシデントもあり2回1/3を2安打2失点、49球で降板。2敗目(4勝)を喫したが、初回に160キロを計測するなど肘の不安を払しょくした。
普段は沈着冷静な青年が戸惑いを隠せないでいた。準備万全で臨んだ舞台。「自分で思ってたよりも緊張した」。88日ぶりの二刀流復活。大谷が本来の姿に戻った喜びをかみしめた。
自然とギアがトップに入った。一回。先頭スプリンガーへの初球で156キロを計測。2球目の154キロ速球を右前へ運ばれ、2死から四球で一、二塁といきなりピンチを背負うと、剛腕がさらにうなりを上げた。
5番ホワイトの2球目でこの日最速160キロをマーク。「そんなに力を入れるつもりはなかったんですけど勝手に出力が上がってしまった」。投手の本能。フルカウントから低めいっぱいのスライダーで凍りつかせ、見逃し三振で敵地を沈黙させた。
しかし、その代償は小さくなかった。ベンチに戻った大谷は首脳陣に腰に張りがあることを伝えた。二回にはさらなるアクシデント。痛烈なワンバウンドの打球に右手を出してしまい、薬指の付け根を痛めた。
「自分でもびっくりしたんですけど、何となく手が出てしまった」
当たりどころが悪ければ骨折の可能性もあった。しかし、状態を確認するためにベンチから出ようとした指揮官に大丈夫の合図。「1個のアウトを必死で取りに行く気持ちは大事」と言った。
三回の投球はまるで別人だった。腰と右手への異変が影響。「あんまり(球が)走ってないという感じはしてた」。球速は初回より約10キロもダウン。それでも降板を申し出なかったのは「いけるとこまでしっかり投げるのが先発の仕事」だから。スプリンガーには左越え2ランを許したが、「いつも万全というわけではない」と、不調時を想定して投げていたと明かした。
予定の50~60球に限りなく近い49球での降板。ソーシア監督は「肘は問題ない。投球内容には満足している」と話し、次回登板が9日(日本時間10日)のホワイトソックス戦になると示唆した。待ち焦がれた復帰のマウンド。大谷が随所に投手としての気概を見せた。