「安易な責任のない意見を裏切りたい」イチロー、キャンプ初日一問一答
「マリナーズ春季キャンプ」(16日、ピオリア)
マリナーズのイチロー外野手(45)がメジャー19年目、日米通算28年目のキャンプ初日を迎えた。フリー打撃では新しい打撃フォームで5本の柵越えを放つなど、約2時間半の練習で軽快な動きを見せ、昨年5月2日のアスレチックス戦以来、約9カ月ぶりの選手復帰を喜んだ。練習後の一問一答は以下のとおり。
-キャンプ初日を終えて。
「『イチロー選手』と呼ばれるのは気持ちいいよねえ。会長付?特別?補佐?まあ、形だけとはいえ、距離があるんですよ、どうしてもね」
-そう呼ばれてきて…。
「呼ばれてはいないけどね。そういうふうに書かれたりする。呼ばれてはいないけど」
-会長付特別補佐に就任した昨年5月3日から目指してきた日を今日迎えた。
「それでいいと思います」
-実際にこの日を迎えた。
「ここにいる誰もそんなことは想像してないと思うけど、僕にとっては大きな記念日ですよね」
-迎えた気持ちは?
「誰もやってきてないことを挑戦するということでは、僕はいくつか結果としても残してきたことではある。まあ、でも誰かがやったことがあることよりは誰もやったことがないことの方が飛び込んでいくという選択になる。それは常々してきたつもりだし、今回もその一つ。ユニークだし、特殊ではあるものの、その一つとして考えてますけど」
-ここまで誰もやったことのない状況。先を見据えた時に今考えることは?
「あれ(昨年5月3日の就任会見)からずっと(選手復帰の思いは)秘めてはいました。場所がそうしてくれる。次のステージに気持ちを上げてくれるということがあるのでね。それは日本でずっとトレーニングしていても、なかなか場所が変わらないと、それはこの場所に来ないと果たせない、というか、できない。想像はしていたけど、イメージはしてきたつもりだけども、この(今日の)1日には叶わない。だから、練習でどれだけバット振っても1打席にはかなわない。その感覚に近いかな」
-誰もがしたことのない挑戦。怖さ、楽しみは?
「比較の対照がないのでね、そんなに怖さはないです。ただ、楽しいだけでもない。ただ、いつも期待を裏切りたいという気持ちはあります。この場合の期待もどちらか捉え方によると思うんですけどね。難しいと思うことを難しいと判断することも本当は難しいんだけど、だってこれは誰もやってないんだから。だからその判断というか、安易な責任のない意見かな、そういうものを裏切りたいと思っています」
-菊池投手との交流は?
「昨日も今日も挨拶しただけですけど。なんせピッチャーと野手は(練習で)交わらないからね。この時期は特にね」
-打撃フォームが変わった。意図は?
「そんなこと言わなくてもいいんじゃない(笑)」
-今日の練習はどう感じたか?
「軽めです。ずっと寒いところでやっていた。急に調子こいてやるとね。それが怖いのでね。あと時差ぼけが取れるまでは慣らしていく感じじゃないかなと思ってますけどね」
-チームメートが変わった。クラブハウスの雰囲気は?
「雰囲気はこれから作っていくもの。それはシーズンに入っていかないとね、これはできないものですから。まず名前と顔を覚えていかないと、かな」
-選手の中にチームのスローガン『改善』と書かれたTシャツを着る者がいた。
「これはなかなかきついね。僕が着るのはね、ちょっと恥ずかしい。どっちかというと内に秘めるもんだしね。ドーンとTシャツで出されてもね。とても抵抗ありますね(笑)」