雄星、輝き取り戻す 9球に収穫ぎっしり「本来の自分のやりたい形」
「マリナーズ5-4レンジャーズ」(26日、シアトル)
マリナーズの菊池雄星投手(27)がレンジャーズ戦に先発し、1回無安打無失点で勝敗はつかなかった。疲労軽減のため、予定どおり1イニングのマウンドはわずか9球で2奪三振を含む三者凡退の好投だった。
わずか9球の中に収穫がぎっしり詰まっていた。初回。菊池は先頭を2球で二ゴロに仕留めた後、2番オドールをカウント1-1から見逃しカーブで追い込んだ後、外角低めの140キロスライダーで空振り三振。続く、打率・352のチーム首位打者アンドラスを2球で追い込み、最後は内角低めのスライダーで連続空振り三振を奪い、「本来の自分のやりたい形」と、充実感いっぱいの表情を見せた。
メジャー6度目の登板となった前回、20日のエンゼルス戦でメジャー初勝利を挙げた。しかし、5回を投げて10安打4失点。宝刀スライダーは全97球のうちわずか12球。カーブの26球を大きく下回った。かべにぶち当たった菊池は、同じ先発左腕でここまで5勝無傷のゴンザレスに相談。「それを試してみたらすごくいい曲がりをした。追い込むスライダーと三振を取るスライダー。ちょっと変えて、やってみたのが良かったと思います」と、同僚に感謝した。
課題はもう一つあった。過去3試合でわずか1球しか投げていないチェンジアップだ。「使いたいと思ってても、序盤にいつも点を取られる展開で使う展開がなかなかなかった」。「チェンジアップは数日間ブルペンですごくよかったので、きょうは絶対1球は投げようって決めて試合に入りました」。2死から迎えたアンドラスへの2球目、外角低めに沈む140キロのチェンジアップで空振りを奪った。「いいボールがいって、次につながるかなと思います」と胸を張った。
この日はスタミナ配分を必要としないショートイニング。試合前のブルペンでいつもより約10球多い44球を投げたことも奏功した。
「1イニングだけなので万全で行きたいな、と。初回からしっかりと投げられるように、そういう準備はしましたね」。
平成最後のマウンド。球団方針とはいえ、本来の先発の役割を果たせなかったことに「この形を喜んでいるようではプレーヤーとしてどうかなというのは正直あります」と、エースのプライドをのぞかせた菊池。新元号の令和を目前にした心境を問われ、「みなさん好きそうな質問ですけど」と言って笑いを取りながら「毎日勉強ばかりで、楽しく、こっちに来てから毎日吸収しながらやれてますし、未来もいいものにしたいなと思います」と力強い言葉で締めくくった。