元阪神・マートン氏「ガンバリマショウ」愛する日本、かつての仲間たちへエール
阪神で10年から6シーズンにわたって活躍し、現在はカブスの競技運営部補佐を務めるマット・マートン氏(38)が、テネシー州ナッシュビルの自宅でデイリースポーツの電話取材に応じた。世界で最も新型コロナウイルスの影響を受けている米国で前向きな気持ちを忘れずに生活。10日にはNPBの現役、元選手らの協力を得て制作したメッセージ動画を自身のSNSに投稿した親日家は、愛する日本に向けて「ガンバリマショウ」とエールを送った。
スマホのスピーカーから子供たちの元気な声が聞こえる。マートン氏がデイリースポーツの電話取材に応じたのは平日の午後、三男ダニエル君(6)と四男ジェームズ君(1)の世話をしている最中だった。
「今は家族で朝食を取った後は小学生の上の3人はオンライン授業を受け、幼稚園児の三男は僕が教えています。算数、理科、読み書きに聖書。初めての経験。両親は教師でしたが、苦戦しています」
米国の新型コロナウイルス感染者は150万人を突破し、死者は10万人に迫ろうとしている。世界で最も大きな被害を受けた国。3月13日に発令された国家非常事態宣言は2カ月以上がたった今も継続中だ。マートン氏の住むテネシー州では1日に外出禁止令が解けたが、学校の再開は新学期の9月。カブスで担当しているスカウティングの活動は禁止され、日曜礼拝はオンラインで行われるなど、制限は多い。
「未知のものに対する恐怖、この先どうなるのかという不安はありますが、常に前向きな気持ちでいたいと思っています」
マートン氏は阪神で活躍した後、16年に米球界に復帰。マイナーで約2年間プレーし、18年1月に現役引退を表明した。
言わずと知れた親日家。帰国後も『日本』を片時も忘れたことがない。10日には自身のSNSを更新し、日本プロ野球選手会会長の巨人・炭谷と音頭を取って制作したNPBの現役、元選手や大リーガー、総勢36人によるリレーメッセージ動画を投稿。藤川、原口、鳥谷、ブラゼルも賛同し、新型コロナウイルスと戦う人たちにメッセージを送っている。
「野球が国、文化、育った環境の異なる人々の心を一つにする。そのことにいつも心を揺さぶられます」
阪神の情報は関係者を通じて常にアップデート。藤浪らが新型コロナ感染から回復し、練習を再開したことも知っている。
「この状況で選手は心身ともに準備することは簡単ではありませんが、自分たちのプレーが人々を元気にすることを忘れないでいてほしい。ファンはとてつもなく大きな存在。ガンバリマショウ!」
愛する日本、そしてようやく見えてきたプロ野球開幕へ準備を進めるかつての仲間たちへ。マートン氏が心からのメッセージを送った。