マー君「後味は相当悪い」連勝でシリーズ突破も6失点悔やむ
「ワイルドカードシリーズ・第2戦、インディアンス9-10ヤンキース」(30日、クリーブランド)
ヤンキースの田中将大投手(31)は5回途中5安打でポストシーズン(PS)自己ワーストの6失点。勝敗はつかなかった。チームは4点ビハインドの劣勢から逆転で2連勝を飾り、レイズとの地区シリーズに駒を進めた。
ユニホームが波打つほどの強い風と雨。マウンド上の田中がずぶ濡れになりながら懸命に腕を振った。
「天気予報で天候が悪いのは予測できていたので、ある程度、頭に入れてましたけど、あのままやるのは想像してなかった。相当厳しかった」
日本でも経験したことのない過酷な条件。田中は初回1死から連続二塁打で1点を失うと、33分の中断を挟んで再開された後にも連打を浴びてさらに3失点。決め球のスプリットが思うように落ちない。過去のプレーオフ8登板の防御率1・76の右腕が大きく乱れた。
しかし、そこから田中が粘りを見せる。「4点取られてしまったんですけど、ゲームをこれ以上、壊してチームの勝つチャンスを摘んでしまってはダメだと思ったので、なんとか、いろんな工夫、修正をした」。落ちないスプリットを捨て、高低より緩急重視のスプリットチェンジに変えたのもその一つ。四回の守備ではバント安打を狙ったゴロ打球を軽快なフィールディングで捕球し、グラブトスで一塁へ送球する美技も披露。球場に駆け付けたまい夫人や子供たちの声援にこたえてみせた。
その力投でリズムを取り戻したチームは四回にウルシェラの満塁弾で逆転に成功。五回には追加点を奪って2点をリードした。しかし五回の田中が二塁打と四球で無死一、二塁とされたところでブーン監督がベンチから飛び出す。2番手グリーンが適時打を浴びて残した2走者を生還させて計6失点。試合後は「本当にきょうは仲間に助けてもらいました」と攻撃陣に感謝する一方で「最後もいい形で締められれば良かったんですけど、最初と最後は締まらず、だったので後味は相当悪いですね」と悔しさをにじませた。
地区シリーズの相手は同地区のライバルでもある地区王者のレイズだ。「自分が相手を上回れるようにしっかり対策して、自分自身の調整もそうですけど、しっかりと調子を上げていければと思います」。次こそは納得のいく投球でチームを勝利に導くもつもりだ。