大谷「情けない」 右肘手術からの二刀流復帰、コロナ禍での調整…語った今季の苦悩
米大リーグ、エンゼルスの大谷翔平投手(26)がこのオフに練習中のロサンゼルスでオンラインによる共同通信のインタビューに応じ、一昨年の右肘の靱帯(じんたい)再建手術から投打の「二刀流」で復帰した今季の苦悩や、巻き返しを期す来季への決意を語った。
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-開幕前の実戦登板は3度だけ。今季は0勝1敗、防御率37・80と振るわなかった。もう少し調整機会は必要だったか。
「あればもちろんありがたいなというのはあったけど、もうそういう状況ではなかったので、その中でやれることやってという感じだった」
-準備で不足したところは。
「やれることはやったつもり。(新型コロナウイルスによる)自粛の期間もやれる練習をやっていた。特にあの時やっておけば良かったなということはなく、ただ単にまだまだ調整が足りなかった。練習が足りてないというか、そういう感じだったのかな」
-肘手術後は感覚が戻りにくいとされる。
「感覚はだいぶ違うとは思う。忘れている部分ももちろんある。こういうふうにやりたいなと思ってもなかなか再現できなかったり、それは実際に経験しないと」
-想像とは違ったか。
「いろいろ聞いてはいたけど、どういう感じなのかというのを、やっぱり自分の体で知らないと分からなかったりする。それはそれで経験として他の人が(リハビリを)やるとなったら自分が(手助けなど)何かできることの材料も増えたと思う」
-肘に不安がないときに比べ、登板した2試合の投球は違ったか。
「手術明けからだんだん良くなってきて、その時がもちろんいいと思っているのでいいとは思うけど、今思えば(違った)というのはあるかなとは思う」
(投手で故障後は打者に専念したが、打率・190、7本塁打、24打点と不振)
-8月に自己ワーストの21打席連続無安打。当時の胸の内は。
「やっぱりメカニック的に良くないのはあった。本塁打もほとんどがまぐれとは言わないけど、それに近いような感じ。何か違うなというのはあった」
-「今までで一番悔しいシーズン」としていた昨季。今季は。
「悔しかったという感じでもなかった。何か情けないなというか。投球も打撃も自分のやりたいものが出せていない」
-「情けない」との表現は珍しい。
「そうですね。(昨季までは)ある程度やっていたのでというか、やりたいなと思っていることができないということがあまりなかった。投球で言えば、リハビリの難しさであるのかなと思うので、まずは自分がやりたいことをやった上で結果が良かったのか悪かったのかというのを知りたかった。じゃないと反省にもならない」
-今季は親交があるダルビッシュ(カブス)が活躍した。
「素晴らしい成績。僕も成績しか見ていないので、あまり投げているとこを見たりというのはなかった。まだ対戦もないので、打席とかで見たい気持ちはある」
-ダルビッシュの右肘手術からの復活は励みになるか。
「もともとずばぬけているものを持っている方。自分と比較することはあまりない。まずは自分にできることをしっかりやりたい」
-肘手術からの復活には時間を要すると捉えているか。
「それは今後の自分の感覚次第。手術も状況によって(各選手で)ばらばらだと思うので、ひとくくりにしていいものではない。一つの例として勉強になる部分はあるし、今後日本の投手とかもその流れは必ず増えてくる手術。よりいい例として参考になるように頑張りたい」
(新型コロナウイルス禍でプレーした今季を振り返り)
-無観客開催による影響は。
「いるかいないかは選手からしたら、だいぶ違うこと。気分的にも声援があるかないかによって変わってくる。もちろんいてほしいなという気持ちの方が選手的には強い」
-私生活での影響は。
「もちろん外に出られないとかはあったけど、もともと外に出るタイプでもないので、あまり困ったことはなかった。(自粛期間中も)それなりに練習はできたので、そんなに困ったことはない」
-食事は。
「最近は自分でつくっている。普通にゆでたり焼いたり、そんな感じでやっている」
-コロナ禍でも来季、複数の日本選手の大リーグ挑戦が取り沙汰される。
「いいんじゃないか。いいんじゃないかって僕が言うことでもないけど。来たいなら来られる環境があることもすごいいいことだと思うし、別に来たくない人にはそうじゃなくてもいいと思う。個々の自由なので、その選択の自由が広がっているのであれば、すごくいいことじゃないかなとは思う」