大谷はなぜ本塁打量産?「スイングアークはハム時代と変わらない」内田順三氏の分析

 エンゼルス・大谷翔平投手が驚くべきスピードで本塁打を量産している。打者で77試合に出場し、メジャートップの30本塁打。量産の理由はどこにあるのか。プロ野球で強打者育成に尽力した名伯楽・内田順三氏(デイリースポーツ・ウエブ評論家)がスイングを解説した。

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 過去の映像も見たが、日本ハム時代と比較してもスイングアークはあまり変わっていない。真ん中から低め付近はバットのヘッドを少し下げてすくい上げ、高めはヘッドをタテ気味にしてスピンをかけて打球を上げることもできる。本塁打量産の要因は、自分のなかでいい感覚やタイミングを覚えてきたのではないか。日本では「イチ、ニーノ、サン」で振るが、速球派の多いメジャーでは1を省いて「ニ、サン」のタイミングで振る。これは松井秀喜も言っていたことだ。

 また、大谷はノーステップ気味にヒールの上げ下げでタイミングを取り、上体のブレもより少なくなったことで、本塁打にする確率も上がっている。日本人は足を上げたり、引いたりして反動をつけて打つのが一般的。大谷がノーステップで打てるのは外国人に負けないパワーを備えているからと言える。下半身を我慢して我慢して、壁を作りながらカウンター気味にボールにパワーをぶつけている。

 これも松井が言っていたが、「僕の引っ張る打球より、Aロッドが右中間に打つ打球のほうが飛ぶんですよ」と。「本当かよ」と返したものだが、大谷も日本にいる時より見た目がふた回り体が大きくなり、技術とともに体力や筋力が外国人に負けていないことが分かる。それでいて、大谷の良さである胸回りの柔らかさは失っていない。打った後に背中までバットを振り切れる柔軟性は、ホームランバッターに共通するものだ。

 大谷の活躍でバレルゾーン(長打や本塁打になりやすい、打球の角度や速度を組み合わせたもの)というものも話題になっているが、今は科学的なデータで、打球の角度やスイングスピードを計測し、自分に何が足りないかを分析することもできる。巨人コーチ時代にも、そのために必要な筋肉、体脂肪率まで目標設定し、選手が課題をクリアしようとやっていた。大谷も自分のスイングをデータで分析し、強化しようと積み重ねてきた成果が今の数字に表れているのだと思う。

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