米大リーグ、開幕再延期を発表 最短で4・15 新たに国際ドラフト導入めぐり労使紛糾
労使対立によりすでに開幕2カードの中止を発表している米大リーグ機構(MLB)が9日(日本時間10日)、開幕再延期を発表した。ロブ・マンフレッド・コミッショナーは声明で「私たちは162試合を実施するために力を尽くし、選手会の懸念の声にこたえ、ただちに選手たちがフィールドに戻れるように誠意ある提案をしました」と、譲歩したことを強調。「1週間で2度目となる深夜に及ぶ交渉を行いましたが、残念ながら合意することはできなかった」と落胆の気持ちを表し、追加で2カード(5、6試合)の中止と開幕が早くても4月14日(同4月15日)になると記した。
米メディアによると、機構側は前日8日までに合意すれば、従来どおり162試合の実施、合意できない場合はさらに1週間の開幕延期と試合削減を通達していたが、選手会が期日までに回答しなかったため、交渉期限を延長した。
この日は選手会が前日に受け取った機構案を拒否。新たな修正案を提示したという。
主要争点の最低保証年俸は機構案の70万ドル(約8050万円)に対し、選手会は前案の72万5000ドル(約8340万円)から71万ドル(約8165万円)へ引き下げた。ぜいたく税年俸総額基準額は機構の2億3000万ドル(約264億5000万円)に対し、選手会は前案から600万ドル(約6億9000万円)減額の2億3200万ドル(約266億8000万円)。メジャー在籍3年未満の選手のためのボーナス共同資金は、選手会は前案の8000万ドル(約92億円)から6500万ドル(約74億7000万円)へ引き下げたが、機構側の4000万ドル(約46億円)とは大きな開きがある。
金銭面では双方が歩み寄りを見せているが、新たな争点となっているのが、オーナー側が24年までに実現を目指す国際ドラフトの導入だ。
複数の米メディアの記者のツイッターによると、機構はこの日、合意のために国際ドラフト導入に向けた3つの選択肢を選手会に提示。内容は(1)選手会が要求したクオリファイング・オファー制度(高額年俸FA選手の補償制度。所属球団の1年契約を拒否した場合、移籍先球団が元所属球団へドラフト指名権を譲渡)の廃止を認める代わりに国際ドラフトの実施を検討する、(2)国際ドラフト導入に関する交渉期限を今年11月15日とし、拒否した場合は新労使協定の有効期間中の24年にオーナー側に改定交渉の権利を与える、(3)国際ドラフト導入とドラフト指名権譲渡廃止に合意する、だったという。
大リーグ公式サイトによると、国際ドラフトは国内ドラフト対象国の米国、カナダ、プエルトリコ以外の国のアマチュア選手を全30球団で20巡目まで指名。国内ドラフト同様、指名順位に応じて契約金の上限が決まっている。
しかし、同制度の導入に関して多くのメジャーリーガーを輩出しているドミニカ共和国やベネズエラなどの選手を含む選手会が猛反発。機構の提示したすべての選択肢を拒否したため、機構は開幕再延期を決めたという。