馬場敏史氏の眼 「計画性が大谷の偉業を後押しした」
エンゼルス・大谷翔平投手(28)がついに10勝10本塁打というメジャー104年ぶり、2人目の偉業を達成した。西武コーチ時代に、日本ハム・大谷を見ていたプロ野球OBでアマチュアの指導も行っている馬場敏史氏(57)はその成長を証言する一方で、アマチュア選手が大谷に少しでも近づく方法を解説した。
◇ ◇
日本人が、野球の本場でこれだけの大記録を達成したというのは、純粋にうれしいことですよね。
大谷に関して、いつも感じることは本当に着実に歩みを進めている部分です。それは大谷本人もそうですし、周囲もそこに合わせている。
彼のプロ入りからの経歴を見ても、まずはメジャー指向が強い中、日本ハムがドラフトで獲得し、いろんな雑音があっても当時の栗山監督はじめ、球団ぐるみで“二刀流”を後押しし、またメジャー移籍も応援した。
高校から直接、米国挑戦したとして、今と同様の活躍ができたかどうかは分かりません。ただ、日本ハム時代に『こういうことができるすごい選手』であることを証明したことで、メジャーサイドも大谷の気持ちをより尊重する根拠になったとは思いますね。
もちろん投手としても、打者としても「使いたい」と思わせる力量を示し続けた大谷のすごさがあってこそですが。
少々無理すれば、今回の偉業を昨年達成することもできたでしょう。それよりも、このパフォーマンスを少しでも長い間続けるため、昨年終盤の登板を回避。そして今季、あっさりやってのける。これも力量と、計画性、そして周囲の理解すべてがそろったからでしょうね。
もはや、子供たちのヒーローです。投球フォーム、バッティングフォームをまねする選手もいるでしょう。ただ、大谷は体も大きいし、卓越したパワー、スピードを兼ね備えています。これはすぐに身につくことではありません。
見た目をまねることも、楽しみの一つですが、あれほどの筋肉が、プレーの邪魔となっていないところをよく観察すると、やはり柔軟性に行き着きます。
大谷をまねするなら、まずは遠回りしてもしっかりと自分の立てた計画をやり抜く。どこでも称賛される、紳士的な態度を貫く。そして、十分な柔軟性を身につける。こうした部分は誰でもできることです。そこから始めてみてはいかがでしょうか。