「野球は永遠の魂」イチロー“節”でスタンド魅了 ピネラ氏からキス「衝撃」エピで爆笑も
米大リーグ、マリナーズで活躍したイチロー氏(48)の同球団殿堂入り式典が27日(日本時間28日)、本拠地T-モバイルパークで行われた。式典の最後に行った英語での約17分のスピーチでは感動的な言葉と爆笑を誘うエピソードを交えた“イチロー節”で満員御礼のスタンドを魅了。現役時代をほうふつとさせるイチローコールを巻き起こした。
スタンドを埋めた観客の心が一つになった。紺のスーツに白と藍色のストライプのネクタイを締めた、この日の主役の名がフィールドに響き渡った。
「イッ!チッ!ロッ!」「イッ!チッ!ロッ」「イッ!チッ!ロッ!」…。
日本選手では史上初となるメジャー球団の殿堂入り。式典最大の見せ場のスピーチでイチロー氏が現役時代と変わらぬエンターテイナーぶりを発揮した。
「ワッツアップ、シアトル!(よお、シアトル!)」。開口一番、声を張る。スラングでイチローワールドへ引き込んだ。
「22年前、シアトル・マリナーズに入団して僕の人生は大きく変わりました」。自身の入団に尽力した元筆頭オーナーの故・山内溥任天堂社長や内助の功を尽くした弓子夫人、そして、ファンに感謝した。「現役を引退してもシアトルはずっと心の中にある。野球は永遠の魂の中にある」。熱い言葉で心を揺さぶった。
メジャー通算3089安打。現役時代のバットコントロール同様、言葉を巧みに操った。メジャーデビュー戦で勝利した夜に当時の監督だったルー・ピネラ氏にほおにキスされたエピソードを披露。「僕にべちょべちょのキスをしてきました。日本ではあり得ないことなので衝撃でした。正直、怖かった」。臆することなく、先輩をいじり、爆笑を誘った。約17分間、1010個の単語の中にシアトルで過ごした14年間を詰め込んだ。
式典の前半では場内巨大スクリーンに約3分のハイライトシーンが流れた。走、攻、守。野球の醍醐味(だいごみ)を体現した数々の名場面に感嘆の声が漏れた。
最後に、チームのロゴが胸についたジャケットを日本時代からの憧れの存在で、すでに殿堂入りしているケン・グリフィーJr.氏から着せられ、胸を張った。歓声と拍手の中に笑顔のイチロー氏がいた。