大谷翔平、悔しい12勝目 5回1失点もまめで緊急降板 自己最速163・2キロで雄叫び
「アストロズ1-6エンゼルス」(10日、ヒューストン)
エンゼルスの大谷翔平投手(28)が「3番・投手兼指名打者」で出場し、投手として5回6安打1失点、与四球2、奪三振7で12勝目(8敗)を挙げた。防御率は2・55。右手人差し指のまめのために79球で無念の途中降板だった。打者では4打数無安打で3試合ぶりノーヒット。九回に代打を送られ、途中交代した。チームは大谷の好投とトラウトの球団新記録となる6戦連発34号3ランなどで快勝し、連敗を2で止めた。
腹の底から声を出し、渾身のガッツポーズをくりだした。三回2死二、三塁の窮地。大谷が5番タッカーに101・4マイル(163・2キロ)のフォーシームをド真ん中に投げ込み、空振り三振に斬った。7月22日のブレーブス戦で記録した101・2マイル(162・9キロ)を上回るメジャー自己最速球だった。
不運な立ち上がりだった。1点を先制した直後の初回のマウンド。先頭アルトゥーベに初球を左前へ運ばれ、暴投で無死二塁。続くグリエルに外角154キロ直球を右前へ運ばれ、右翼ウォードがゴロ打球を捕球ミスする失策で1点を失った。
過去4登板の援護点はわずか4。しかし、この日は打線が奮起する。同点の二回に6番フォードの二塁打を足掛かりに勝ち越しに成功すると、2番トラウトが球団記録を45年ぶりに更新する6試合連続本塁打の34号3ランでリードを広げた。
二回以降の大谷は毎回の7奪三振。三者凡退は一度もなく、走者を背負う苦しいピッチングが続いたが、要所を締めて反撃を許さなかった。8月16日のマリナーズ戦から本格的に投げ始めた新球ツーシームをフル活用し、この日はフォーシームの11球を上回る20球を投げた。
悔やまれるのは六回のアクシデントだ。投球練習中に右手人差し指のまめがつぶれて投球続行不可能と判断。マウンド上でネビン監督代行、フロスタッド球団トレーナーに状況を説明した後、無念の表情でベンチに戻った。宝刀スプリットを2球に抑え、カーブを全く投げなかったのは指へのダメージを最小限に抑えるためだったのかもしれない。
打者では初回1死二塁の打席で初球を打って中飛。飛距離119メートルの大飛球を好捕された。二回の打席はツーストライクと追い込まれ、外角低めチェンジアップをセンターへ打ち上げた。五回は先頭で初球のチェンジアップをとらえきれず二ゴロ。降板後、“大谷ルール”を使い、指名打者として打席に立った七回はカウント3-1から見送った2つの外角直球をいずれもストライクと判定されて見逃し三振。顔をしかめながら打席をあとにした。
打者ではすでに規定打席をクリアしているが、投手としてはこの日の5イニングでシーズンの投球回数は141。規定投球回の162まで21イニング。このまま中6日のペースで先発すれば、残り3登板。史上初のダブル規定到達には1登板平均7イニングが必要となる。