MLB神話 大谷二刀流W規定到達 最終戦に偉業達成「目指すべき数字なのか分かった」

 最終戦を終えてシーズンを振り返る大谷(撮影・小林信行)
 レギュラーシーズン最終戦のアスレチックス戦に「3番・投手兼指名打者」で先発し、投球するエンゼルス・大谷(ゲッティ=共同)
 レギュラーシーズン最終戦を終え、用具を持って引き揚げる大谷(共同)
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 「アスレチックス3-2エンゼルス」(5日、オークランド)

 米大リーグ、エンゼルスの大谷翔平投手(28)が5日(日本時間6日)、アスレチックスとの最終戦に「3番・投手兼指名打者」でフル出場し、ワールドシリーズが始まった1903年以降のMLBでは初となる規定打席&規定投球回のダブル到達を成し遂げた。この日は5回1失点で9敗目を喫したが、メジャーでシーズン15勝、防御率2・33など数々の部門でキャリアハイを更新し、シーズンを終えた。

 120年間、誰も足を踏み入れたことのない境地にたどり着いた大谷の表情は晴れ晴れとしていた。

 「本来こだわりはないですけど、本当にやってみないと分からない。自分として目指すべき数字なのかどうか。それが分かったのが良かった」

 開幕投手を務めた4月7日から最終戦まで28登板。「安定して毎試合投げられたのが一番かな」。ダブル規定到達はリアル二刀流の結晶でもあった。

 前夜の打席で右上腕部に死球を受けるアクシデントに見舞われた。後遺症が心配されたが初回、三者凡退に仕留めてシーズン規定投球回の162イニングに達した。5回1失点で9敗目を喫したが、五回1死まで完全投球を見せた。

 ダブル規定到達は強靱(きょうじん)な肉体がなせる業だ。「変な痛みや張りを気にすることなく、(マウンドに)上がることが、一番、数字が残るかどうかだと思う。リカバリーを含めて1年間、それができたのは良かった」。今季は股関節や腰の張り、右手のマメなどで途中交代を余儀なくされた。自打球により右脚に大きな内出血のアザをつくったこともあった。

 それでも驚異的な回復力で苦境を打破。MVPを獲得した昨季に続き、投打の柱となって低迷するチームを支え続けた。攻めの姿勢を忘れず、個人成績の主要部門では上位に名を連ね「きょうで終わってしまうのは、不本意なところ。本来ならここからが本番」。もっと野球がしたい。まだ一度も立ったことのないプレーオフの舞台に思いをはせた。

 4日前に球団と来季契約3000万ドル(約43億4000万円)で合意したと発表された。「早い段階で球団と良い関係を築けたのは良いこと。(年俸を)多くもらうからには活躍して当たり前みたいなところがある。しっかり頑張りたい」と大谷は早くも来季を見据える。

 今後はシアトルにあるトレーニング施設に滞在する予定だ。唯一無二の二刀流選手ゆえか、米国では神話に出てくる架空の動物「ユニコーン」のニックネームが定着。今季、おとぎ話のような活躍を成し遂げた大谷が、新たな頂へ突き進む。

 ◆規定投球回と規定打席数 規定投球回はレギュラーシーズンのチーム試合数と同じ162イニングで、最優秀防御率のタイトルはこれをクリアした投手が対象となる。規定打席数はチーム試合数の3・1倍の502打席。首位打者は原則、規定に達した中で打率トップの選手が受賞する。大リーグで現行の規定ルールが定まったのは1950年代とされる。投手は先発と救援の分業が進み、規定投球回の到達者は減少傾向にある。

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