大谷翔平の“誤訳”発言『ネガティブな印象』を米メディアが深掘り
米スポーツ専門サイト「アスレチック」がこのほどエンゼルスの大谷翔平投手の長文記事を掲載。同投手が18日に行った帰国会見に関して英訳された一部の発言を深掘りした。
記事を執筆したエンゼルス担当のブラム記者が着目したのは、大谷が今季の戦いについて語った箇所だ。「去年よりも特に8月、9月は長く感じたし、(6月から7月にかけての)14連敗も含めて、なかなか思うようなゲームが多くできていたわけではないので、良くない方向での印象が強い」。同サイトによると、最後の箇所をAP通信が「I have a rather negative impression of the season(むしろ今シーズンはネガティブな印象を持っている)」と英訳して全世界に配信。ESPNの記者は自身のツイッターで「negative impression」を「チーム批判」と投稿し、物議を醸した。
ブラム記者はこれら英訳コメントを「73勝89敗のシーズンに『ネガティブな印象』を持つことは驚きでもないし、ニュースでもない」と冷静に解説し、「MVP級の成績を残したシーズンかどうかに関係なく、そう思わない選手はうそつきか、勝利にこだわらないかのどちらかだ」と大谷の“発言”を擁護。「ひどいシーズンだった」と自身の感想をつづった。
同記者は大谷の将来についても言及。マドン監督の途中解任や球団の身売り検討など、今季のチームに起こった出来事を記しながら「この会見での大谷の発言は一部分を切り取るべきではない。この状況は複雑で非常に繊細なので、彼がエンゼルスに対して抱いている潜在的な否定的認知の証拠として今回の発言を用いるべきではない」とする一方で、今月初めに来季の年俸3000万ドル(約45億円)で合意した同投手の過去のチームに関する発言には苦言。「現時点で自分がチームの支配下にあると考えるのは正しい。しかし、まもなく(来季終了後に)FAになるわけで、望むものがあるのなら、彼はスポーツ界で十分な影響力を持っているのだから、自分の気持ちをもっと前面に出してもいいはずだ」と記した。
大谷と球団との関係については「1つ目は大谷とエンゼルスが互いに感謝し合っている。2つ目は大谷がエンゼルスで長期的に勝てるかどうかを心配しており、このチームで将来をコミットすることに消極的である」と2点に要約。「彼が『ネガティブな印象』を口にしたこと自体は意味をなさないが、注目すべきことである。なぜなら、大谷が来季以降も残留するのであれば、チーム成績に対する『ネガティブな印象』を変える時間はあまりないからだ」と、警鐘を鳴らした。