藤浪晋太郎「60点ぐらい」無失点の米実戦初登板を辛口採点 初回は2K、二回は3連続四球のピンチ脱出
「オープン戦、アスレチックス5-11エンゼルス」(28日、メサ)
アスレチックスの藤浪晋太郎投手(28)がオープン戦に初めて登板し、2回1安打無失点、与四球3、奪三振3。予定どおりのイニング数を投げ、最速は158キロ。39球のうちストライク19球、ボールは20球だった。この日の相手先発、大谷翔平投手(28)と14年7月19日のオールスター戦以来、3146日ぶりに投げ合った。大谷は2回1/3を無安打無失点に抑え、与四球2、奪三振2。34球を投げてストライク21球、最速は同じく158キロだった。
スプリットがさえた。注目の立ち上がり。先頭打者、メジャー6年目のフレッチャーへの初球、156キロ直球が内角高めに浮くも、続く外角154キロでストライクを取る。内角高めのスライダーでファウルを打たせて追い込み、最後はワンバウンドになる146キロスプリットでバットに空を切らせた。
2番は小柄ながら昨季17本塁打のパワーをもつレンヒフォー。投手強襲のゴロ打球を右足に当てヒヤリとさせたが、一塁ベンチから出ようとするトレーナーを右手で制して無事をアピールした。メジャー94本塁打の3番ラムをカウント2-2からのスプリットで空振り三振。16年ドラフト全体1位指名の24歳、モニアックには初球、122キロのカーブの後に154キロ直球を投げ込んで二飛。落差32キロの緩急で敵を封じた。
「立ち上がりが落ち着いていけて良かった分、2イニング目がちょっと良くしてやろうという欲が出た」。
試練は二回だ。先頭アデルはカウント1-2と追い込みながらフルカウントからスライダーが抜けて四球。6番オハッピーには3球連続ボールからカウント3-2に持ち込んだが、6球目の変化球が外角低めに外れて歩かせ、マイナーのキャベジにはストレートのフォアボールで無死満塁のピンチを背負った。
しかし、そこから底力を見せる。続くWBC豪州代表のホワイトフィールドをフロントドアのスライダーで追い込み、外角高めいっぱいの156キロ直球で見逃し三振。昨季9月メジャーデビューの9番ソトにはカウント2-2から内角154キロ直球で詰まったゴロを打たせて遊ゴロ併殺。安どの表情を浮かべながらマウンドを降りた。
23日のライブBP(実戦形式の打撃練習)登板で課題に挙げていた、力みからの制球難に陥る悪い癖が出てしまった藤浪。変化球については「スプリットは良かったですね。大きな変化のスライダーが抜けたりあった」と振り返り、3者連続四球の場面を「ちょっと荒れて、力んで、(左肩が)開き気味というか、よくない傾向だった」と反省した。
今季から導入される「ピッチクロック(投球時間制限)」は「思ったより焦らなくていいかなと。サインが決まらなかった時だけ焦るかなというのはありましたけど、基本的にはそんな困らない。自分のリズム的なものでいうと、困らないかなと」と手ごたえを感じた様子の藤浪。帽子の耳のあたりに取り付ける捕手とのサイン伝達電子機器「ピッチコム」にも「はっきり聞こえます」と問題なかったようだが、「(サイン)交換に時間がかかるので、1回首振ってから次の球種(のサイン)がくるまでに時間がかかる。今年から投手側からも(サインを)発信できるのもあるので、使うことも考えながらやっていきたい」と話した。
2イニング、39球の米初実戦。「ボールの質とかは悪くないので、それをいかにコントロールできるかが自分の課題だと思うので、そこだけ。あとは、(初回が)いいからと欲を出さない、かかないことかなと思います」と藤浪。自己採点を求められると、「60点ぐらいですかね」と、やや辛口でこの日の投球を評価した。