“リアル二刀流”エンゼルス・大谷 2戦連発の27号&降板直後28号 投げては6回1/3を1失点で7勝目
「エンゼルス4-2ホワイトソックス」(27日、アナハイム)
エンゼルスの大谷翔平投手(28)が“リアル二刀流”で躍動した。本拠地アナハイムでのホワイトソックス戦に「2番・投手兼指名打者」で先発し、登板した試合で初めて2本塁打を放った。一回に2試合連続の先制27号ソロ、七回に28号ソロを打った。投手では6回1/3を4安打1失点、10奪三振で7勝目(3敗)を挙げた。
異次元の“ショウ・タイム”で本拠地を魅了した。地元ファンが合唱するMVPコール。試合後に中継局のヒーローインタビューに応じた大谷が「マウンドでも打席でも励みになってるのでもっともっと大きい声援をもらえたらうれしいなと思います」と言った。
耳に心地よい甲高い打球音は初回だ。スプリットで2つの三振を奪い、三者凡退で締めた後の打席。甘く入った153キロ直球を完璧に捉えた。白球が鮮やかな放物線を描きながら右中間席中段に着弾した。
自身を援護する先制弾。意気揚々とベンチに戻った大谷だったが、球団恒例の本塁打儀式は拒否した。「次の回の準備をするため」。同僚たちとのハイタッチも省略するほどの徹底ぶり。代役を務めたのは通訳の水原氏。遠慮がちにかぶとをかぶり、ブルペンに向かって手刀を振り下ろすパフォーマンスまで再現したが、「ちゃんと被ってなかったのでノリが悪いなと思いました」と、ダメ出しした後、声を上げて笑った。
マウンドでは二回以降もゼロを並べ続けた。スイーパーに替えてカットボールの割合を増やす配球で打者を翻ろう。決め球のスプリットもさえた。二回と六回のピンチはいずれも三振で切り抜けるなど、6度目の2桁奪三振をマークした。
登板前から割れていた右手中指の爪の状態が悪化して七回途中に降板。それでも1点差に詰め寄られた直後の七回の打席で左中間へ豪快な一発を放った。外角低めのスプリットを最後は右手1本になりながら左中間へ運んだ技ありの一打。「タイミングも良かったし、打撃の形としても申し分ない感じだった」と自画自賛した。
登板試合の2本塁打は自身初の快挙。本塁打と打点の2冠でシーズンを折り返し、「打撃面はベストに近い。多少泳いでもいい軌道で振れている分、しっかりコンタクトできる」と自己分析した。
チームは連勝で貯金7。ワイルドカード争いでプレーオフ圏内に入った。「みんなの雰囲気もいいし、いい形で試合に臨めている」。進化し続ける二刀流。「MVPは大谷」の声に反論する材料は見当たらない。
◆打者で2本塁打、投手で10奪三振 ア・リーグでは1963年7月31日のラモス(インディアンス=現ガーディアンズ)以来、60年ぶりの記録。同リーグでは73年から指名打者(DH)が導入され、投手が打席に入ることはなくなった。2021年までDHがなく、投手が打席に立っていたナ・リーグでは17年にジャイアンツのバムガーナーや19年にダイヤモンドバックス時代のグリンキー(ロイヤルズ)が記録している。