大谷 キング独走33号 ネクストバッター・ウォード「打球から煙が見えた」サヨナラ口火弾

 「エンゼルス13-12アストロズ」(15日、アナハイム)

 エンゼルスの大谷翔平投手(29)が3点を追う九回、後半戦初アーチとなる33号ソロを放った。延長十回サヨナラ勝ちの口火となる一発で、2位に7本差をつけて本塁打王を独走。チームは最大6点差をひっくり返し、今季ワーストの連敗を6で止めた。自身初、チーム9年ぶりプレーオフに向かって再び前進し始めた。

 白いパウダーが舞う歓喜の輪の中で、大谷が仲間たちと一緒に笑顔を見せた。6点差を追いつく驚異的な粘りからつかんだ劇的勝利。今季ワーストの連敗を止めた興奮がフィールドに渦巻いた。

 待望の“ショウ・タイム”は3点を追う九回無死だ。4打席無安打3三振で迎えた5打席目。大谷が反撃への機運を高める一発を放つ。

 WBC米国代表の抑えを務め、今季21セーブの守護神・プレスリーのスライダーを完璧に仕留めると、飛距離123メートルの打球がフェンス際でジャンプした中堅手の頭上を越えた。後半戦2試合目での一発で、初タイトルへ前進する33号ソロだ。

 「打球から煙が見えた」。そう言ったのはネクストバッターズサークルから豪快アーチを見届けたウォードだ。「信じられないね。すごい男だよ。あれが勝利への口火になったと思う」と感嘆した。

 生還した大谷は本塁打後の儀式でかぶとこそ被ったが、笑顔はない。勝利への執念を示す表情をベンチで見せると、後続が4安打で2点を奪って同点に追い付いた。タイブレーク制の延長十回1死二塁では今季5個目の申告敬遠で歩かされたが、続くウォードの打球で相手守備のミスが絡んで勝利をつかんだ。

 大谷と同じく、3三振後の七回2死一、二塁で同点3ランを放ったベテランのムスタカスは言う。

 「前の打席のことは考えなかった。その一球、その一瞬でこの試合は決まる感じだった。あの打席で自分は好球を逃さず、仕留めることができた」

 大谷の気持ちを代弁するかのような言葉だった。

 後半戦初星で負の連鎖を断ち切った。ただ、チームは借金1でワイルドカード争いでも厳しい状況。チーム9年ぶりのプレーオフへの道のりは決して平たんではない。大谷にとっても、チームにとってもここが踏ん張りどころだ。

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