藤浪晋太郎の移籍は必然だった?真価問われる電撃トレード 9年ぶり地区V目指すオ軍はローリスク・ハイリターン

 レッドソックス戦前、ブルペンでの投球練習を終え、コーチらと笑顔で話す藤浪(右)
 レッドソックス戦前、ブルペンで投球練習する藤浪
 レッドソックスに勝利し、ベンチでタッチを交わす藤浪(右)
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 アスレチックスは19日(日本時間20日)、オリオールズとのトレードで藤浪晋太郎投手(29)を放出し、3Aの左腕、イーストン・ルーカス投手(26)を獲得したと発表した。

 電撃トレード。しかし、6月の時点でメジャー関係者の間では藤浪が7月の球宴後にアスレチックスのチーム事情からなんらかの形で移籍する可能性があるとささやかれていた。

 「なんらかの形」とは。開幕からメジャー最低勝率にあえいでいたアスレチックスは後半戦に入れば、来季を見据えたチーム編成に舵を切ることが確実。藤浪が防御率12点台だった5月のような投球を続けていれば、来季の構想から外れて戦力外になり、逆に投球内容が好転すれば、他球団が獲得に動くだろう、と。

 6月4日以降の16登板で防御率2・45、直近11登板は無四球、と見事なV字回復を見せた藤浪は後者の形でユニホームの色が変わることになった。8月1日のトレード期限まで10日以上を残している状況から選手側が早い段階で移籍を希望していたことも考えられる。いずれにしてもアスレチックスにとって藤浪を残す理由はなかったと言える。

 藤浪の新天地、オリオールズはこの日のドジャース戦で快勝してア・リーグ最高勝率球団となった。ブルペン陣は25セーブ、防御率1・00のバティスタを抑えとし、防御率1・61のセットアッパーのカノ、チーム最多43登板で6勝を挙げているボーマンら勝率の方程式はすでに確立されており、「補強」よりも「保険」の意味合いが強い。

 藤浪の今季年俸は325万ドル(約4億5000万円)だが、オリオールズの負担額はおよそ100万ドル(約1億4000万円)。ローリスク・ハイリターンというわけだ。

 新天地は藤浪が真価を問われる場となる。40を超える借金を抱えるメジャー最弱球団と、9年ぶりの地区優勝&7年ぶりプレーオフ進出に向けて上昇気流に乗る球団とはクラブハウスの空気は全く異なるだろう。さらにオリオールズが所属するア・リーグ東地区は最下位のヤンキースでさえ勝率5割を超えている超激戦区だ。負けられない試合が続く中で164キロ右腕がどんな投球を見せるのか。今後のメジャー人生を左右する戦いが待っている。

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