大谷翔平 史上初2度目の満票MVP「10勝&キング44発」で2年ぶり“王者”

 米大リーグの今季の最優秀選手(MVP)が16日に発表され、ア・リーグは投打「二刀流」で好成績を残した大谷翔平投手(29)が2年ぶり2度目、ナ・リーグはブレーブスのロナルド・アクーニャ外野手(25)が初受賞した。記者投票となった1931年以降で初めて、両リーグともに満票で選ばれた。大谷は前回も全員から1位票を獲得しており、2度目の満票選出はメジャー史上初。今オフにFAとなった大谷は全球団との交渉が解禁されており、争奪戦の行方が注目される。

 満票MVP発表の瞬間、大谷は脇に抱えた愛犬とハイタッチを交わし満面笑みを浮かべた。米大リーグ専門局、MLBネットワークの番組に3年連続ファイナリストとしてリモート出演。グレーの丸首トレーナーのカジュアルな服装でソファーに座る二刀流に“王者”の風格が漂っていた。

 2年ぶりの栄冠。昨季はア・リーグ新の63本塁打を記録したジャッジ(ヤンキース)に次ぐ2位だった。「もちろん取りたかった」と本音をのぞかせた大谷は、今季世界一のレンジャーズの主力で、最終候補に残ったシーガーとセミエンの名前を挙げながら「彼らに負けないようなシーズンにしたいなと思ってましたけど、個人的にこうやって取れて特別なことだなと思います」と喜びを口にした。

 6年目の今季も投打で躍動。打っては44本塁打で日本選手初のキングの称号を手にし、投げては昨季に続いて10勝をクリア。ベーブ・ルースもなしえなかった「2年連続2桁勝利&2桁本塁打」を達成した。7月27日のタイガースとのダブルヘッダーでは、第1戦に投打同時出場して自身初の完封勝利を挙げ、第2戦ではDHで2打席連発。超人的パフォーマンスで見る者の度肝を抜いた。

 開幕前の3月に行われたWBCでは日本代表を世界一に導き、自身はMVPを獲得した。MVPに始まり、MVPで締めたシーズン。

 「投打のバランスはすごく良かったんじゃないかなと思いますし、それをより高いレベルでこなしていたんじゃないかなと思います」

 満足感を口にした大谷だったが、9月に右肘靱帯損傷が判明して手術。目標のシーズン完走を達成できず、「最後まで出続けられたわけではないので、そこだけが心残り」と、悔しさをにじませた。

 シーズン終了後にFAになったため、現在は球団との交渉とリハビリを並行して行っている。

 「1回目(18年10月の右肘手術)よりもスムーズに来ている感覚はある。焦らずにやりたいなと思う反面、しっかり来シーズンまでに間に合わせてプレーしたいなという気持ちでいます」

 24年は打者に専念にする大谷に早くも三冠王と3度目のMVPを期待する声が上がっている。二刀流の道を切り開いてきた男に不可能なことは存在しない。

 ◆大谷 翔平(おおたに・しょうへい)1994年7月5日生まれ、29歳。岩手県出身。193センチ、95キロ。右投げ左打ち。投打の「二刀流」で活躍。花巻東から12年度ドラフト1位で日本ハム入団。14年にNPB初の2桁勝利&2桁本塁打。16年に10勝、22本塁打でパ・リーグMVP。さらに投手と指名打者部門でベストナイン。18年にポスティングシステムでエンゼルスに移籍し新人王。21年に9勝、46本塁打でア・リーグMVP。22、23年は2桁勝利&2桁本塁打。23年WBC日本代表として優勝に貢献しMVP。

 ◆大リーグの最優秀選手 全30球団の本拠地から選ばれた全米野球記者協会2人ずつの会員の投票で、レギュラーシーズンの成績をもとにア、ナ各リーグで選出する。投票はプレーオフ前に実施。10人連記で1位が14点、2位以下は9点から1点ずつ下がって10位が1点となり、合計点で決まる。1911年制定の歴史がある個人表彰で同年に球聖タイ・カッブ、23年にはベーブ・ルースが受賞した。最多受賞はメジャー最多762本塁打を放ったバリー・ボンズの7度。

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