大谷翔平、敗戦のベンチの中で見せた同僚への気遣い 3度の得点機に沈黙 チームは3連勝逃す
「ドジャース5-6カージナルス」(30日、ロサンゼルス)
敗戦が確定した直後のベンチ。クラブハウスへ引き揚げる大谷が前を歩く選手の尻をポンと叩いた。背番号9。1点を追う延長十回2死二塁から遊撃内野安打で出塁した9番打者のラックスだった。
自分に打席を回してくれた1本。チャンスを作ってくれてありがとう。チャンスを生かせなくて申し訳ない。心の中は打てなかった悔しさでいっぱいのはずの大谷が、チームメートに“気持ち”を見せた瞬間だった。
歓声とため息。遊撃手の頭上に舞い上がった打球を見た大谷ががっくりと肩を落とした。5-6の延長十回2死満塁。カウント2-1から内角球に詰まらされ、最後の打者になった。
「まずは同点だと思うので、フォアボールでもいいですし、シングルでもいいですし、どういった形でもいいので、まずは同点にして、つなぐことが大事でした」
シャワーを浴び、私服に着替えた大谷が最後の打席に入った時の狙いを明かす。
「最後(の打席)も自分の中ではとらえたつもりですけど、ポップフライになってたので、(スイングの)『タイミング』と、(自分のボールの)『距離』の違いかなと思います」
4打数無安打の前夜の試合から一夜明け。山本由伸投手の本拠地デビュー戦で大谷は初回の打席こそ右前打を放ち、無死一、二塁の好機を演出したが、両軍無得点の二回2死一、三塁の打席は空振り三振。3点を追う七回無死二塁の場面ではバットに当てただけの右飛。5回無失点の山本を「素晴らしいピッチングだった」と称える一方で「もっと早い段階で援護してあげて、最後もできれば勝って終わらせてあげたかったというところだったと思います」と振り返った。
昨季のMVPはここまで韓国2試合と本拠3試合、ここまで計5試合に出場しているが、打率・273、0本塁打、2打点、OPS・638。昨季MVPが本来の力を出し切れていない。「見え方自体は悪くないですけど、タイミングと距離の問題かなと思います」。自分がやるべきことは分かっている。会心の一発が出る日はそう遠くはないはずだ。